12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『ステージ・マザー』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

もし突然、ゲイバーの経営者になったと言われたら、あなたはどうするだろうか。本作の主人公は、まさにそんな状況に陥ってしまう。さらに、彼女は中年を過ぎた女性。果たして、彼女が選ぶ選択とは。

映画『ステージ・マザー』の作品情報

ステージ・マザー

タイトル
ステージ・マザー
原題
Stage Mother
製作年
2020年
日本公開日
2021年2月26日(金)
上映時間
93分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
トム・フィッツジェラルド
脚本
ブラッド・ヘンニク
製作
J・トッド・ハリス
アン・クレメンツ
ブラッド・ヘンニ
クローリー・クラウス・ラコブダグ・ペティグルー
製作総指揮
トム・フィッツジェラルド
クレイ・エプスタイン
キャスト
ジャッキー・ウィーヴァー
ルーシー・リュー
エイドリアン・グレニアー
マイア・テイラー
オスカー・モレノ
ジャッキー・ビート
製作国
カナダ
配給
REGENTS

映画『ステージ・マザー』の作品概要

衝撃の作品が、2020年に誕生した。ゲイバー、ドラヴァクイーン、ステージマザーという人目を奪うテーマをふんだんに盛り込んだ作品。本作のために、名優が集結。『プラダを着た悪魔』のエイドリアン・グレニアーや、『世界にひとつのプレイブック』のジャッキー・ウィーヴァー、『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』シリーズのルーシー・リュー。彼らが、作品を大いに盛り上げる。ショーをテーマにしているだけあり、画面も非常に華やか。見ていて非常に盛り上がる一方で、現代様々な議論を生むことも多い、LGBTQ+問題にも大きく切り込んでいく。

映画『ステージ・マザー』の予告動画

映画『ステージ・マザー』の登場人物(キャスト)

メイベリン(ジャッキー・ウィーヴァー)
疎遠になっていた息子の訃報を知らされた老齢の母親。敬虔なクリスチャンだったが、息子の代わりにゲイバーを営むことになる。
ネイサン(エイドリアン・グレニアー)
リッキーの生前のパートナー。バーの共同経営者でもある。

映画『ステージ・マザー』のあらすじ(ネタバレなし)

メイベリンは、テキサスの田舎町に暮らすごく普通の主婦。ある日、彼女の元に一通の訃報が届く。それは、疎遠になってしまった息子、リッキーの訃報だった。知らせを受けたメイベリンは、リッキーが暮らしていたサンフランシスコへと向かう。そこで、メイベリンは衝撃の事実を知ることになる。なんと、リッキーは、ドラヴァクイーンとして活動しており、ゲイバーを経営していたのだ。そして、なんとそのゲイバーの経営権が、メイベリンにあったのだ。しかし、肝心のバーは破産寸前。困惑するメイベリンだったが、息子が遺した店を立て直すべく、ステージマザーとして一念発起を図るのだった。

映画『ステージ・マザー』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『ステージ・マザー』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。
映画『ステージ・マザー』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『ステージ・マザー』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『ステージ・マザー』の感想・評価

ドラヴァクイーンとは

ドラヴァクイーンという言葉を知っているだろうか。日本では、惜しまれつつも亡くなった三浦春馬がドラヴァクイーン役を演じたことでも大きな話題を呼んだ。さらには、SNSでもドラヴァクイーンがインフルエンサーとなっている、など近年その存在感は益々増してきている。本作の主人公、メイブリンの息子も、このドラヴァクイーンだった、という設定。ドラヴァクイーンとは、男性が女性の格好をして行うショーのこと。ドラヴァクイーンは必ずしも同性愛者というわけではなく、異性愛者がプロとして、または趣味として行うケースもあるなど、益々広がりを見せている。一見華やかなドラヴァクイーンの世界。果たして彼らがどのような活動をしているのか、本作を通して学んでみよう。

母親と息子の関係性

最新作の主人公、メイブリンにはとある悩みがあった。息子がゲイだったのだ。今日、LGBTが以前よりも理解を得られるようになった。誰を愛するか、愛さないかは各個人の自由であり、当然の権利なのだ。しかし、『当然の権利なのだから理解しろ』、と、その親に第三者が頭ごなしに言うことは、あまりに無責任なことである。当事者にしか理解できない悩みというものも、必ず存在するのだ。残念ながら、物語は息子の訃報が母親に届くところから始まる。しかし、彼が遺したゲイバーを代わりに運営していく中で、メイブリンの息子への考え方は少しずつ変わっていくかもしれない。母親と息子の、繊細な関係性、その変化にも注目。

カストロ・ストリート

本作の舞台である、メイブリンが経営することになるゲイバーは、カストロ・ストリートという場所に位置している。このカストロ通りとは、サンフランシスコに実際に存在する場所の名前。実はこの場所、世界有数のLGBTQ+のコミュニティの拠点にもなっている場所なのだ。この場所では、これまで多くのLGBTのイベント、政治が執り行われてきた。まさに、所謂『性的マイノリティ』をテーマに描く映画の舞台としては、これ以上ない場所であると言える。映画の中で描かれているような光景が、実際にこの場所では日々繰り広げられているのだ。旅行が気軽にできないこのご時世、ぜひ今作を見て、実際にカストロ・ストリートに足を運んだ気持ちになってみよう。

映画『ステージ・マザー』の公開前に見ておきたい映画

映画『ステージ・マザー』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『ステージ・マザー』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

キンキーブーツ

本作に登場する、ドラヴァクイーン。そんなドラヴァクイーンが主要キャラクターとして描かれる名作が本作。高い評価を得た本作は、後にミュージカル化。なんと、あのブロードウェイでも公演が行われるほどの人気作品となったのだ。日本でも、三浦春馬が主演を務めたことで大きな話題になった。主人公のチャーリーは、イギリスにある靴製造会社のオーナー。しかし、肝心の会社は倒産の危機に瀕していた。そんな時、チャーリーはドラヴァクイーン、ローラと出会う。そして、その出会いをきっかけに、二人はドラヴァクイーンのための特注靴製造に乗り出すのだった。一見、全く反りの合わない二人は協力して、会社の再建のために動き出す。

詳細 キンキーブーツ

マンマ・ミーア!

母親が奮闘する作品と聞いて、本作を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。どちらの母親も、破産寸前の会社をなんとか立て直そうとしている点も奇しくも共通している。世界的に大ヒットを博した、スウェーデンのアーティスト、ABBAの楽曲をふんだんに盛り込んだミュージカル作品。ギリシャのエーゲ海に浮かぶ、一軒のホテル。ホテルのオーナーのドナは、女手一つでホテルを切り盛りし、さらには娘のソフィを育ててきた。そんなソフィもとうとう嫁に行くことに。結婚という節目に、ソフィは一度も出会ったことがない、自身の父親に会いたいと考えた。自分の父親候補は全員で3人。誰が父親かは見れば直ぐに分かる、とソフィは母親に内緒で3人を同時に島に呼びつけるが…?

詳細 マンマ・ミーア!

シングルマン

作中で、LGBTをテーマとして扱っている作品は近年増加傾向にある。本作は、2009年の映画ながら、鋭くそのテーマに切り込んでいる。さらに、作中で最愛の人を失う、という点も最新作と共通している。本作では、主人公が心から愛したパートナーが、最新作では、疎遠になっていた息子が、物語の冒頭からこの世を去っている。同性同士の恋愛を描いた作品では、様々な苦難を乗り越えて彼らが幸せを獲得するまでを描いたものが多い。しかし、本作は幸せになった『その後』を描いた、新鮮な一本。最愛の人に先立たれた主人公を演じる、コリン・ファースの儚げな演技にも注目。自殺をも考えた主人公は、どのようにしてその喪失感から立ち直るのか。

詳細 シングルマン

映画『ステージ・マザー』の評判・口コミ・レビュー

映画『ステージ・マザー』のまとめ

初めての経験というものは、期待感で胸が高鳴ると同時に、どうしても不安が付き纏う。さらに、高齢になればなるほど、人間は保守的になることが多い。勿論、それは悪いことではない。これまで自分が築いてきたものを尊重して守るということは、誰にも批判されるべきではない。しかし、その分、どうしてもこれまでの自分の価値観にそぐわないことを、以前よりも受け入れがたくなってしまうことがある。世界は無限に広がっている。当然ながら、自分が見ている世界がこの世の全てではないのだ。他の価値観を切り捨てるということは、もしかすると、自身の世界をより狭めてしまっている、ということになるのかもしれない。どの年齢になっても、新しい世界を知る、新しい挑戦をすることの輝きを教えてくれる一作。

みんなの感想・レビュー