ハリウッドが誇る名優、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチがタッグを組んだ。互いを深く愛し合う同性カップルを描いた本作。相手を思うあまりにすれ違ってしまう、2人の愛情深さに思わず涙を誘われる。
映画『スーパーノヴァ』の作品情報
- タイトル
- スーパーノヴァ
- 原題
- Supernova
- 製作年
- 2020年
- 日本公開日
- 2021年7月1日(木)
- 上映時間
- 95分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- ハリー・マックイーン
- 脚本
- ハリー・マックイーン
- 製作
- エミリー・モーガン
トリスタン・ゴリハー - 製作総指揮
- メアリー・バーク
エバ・イェーツ
ビンセント・ガデル - キャスト
- コリン・ファース
スタンリー・トゥッチ
ピッパ・ヘイウッド
ジェームズ・ドレイファス - 製作国
- イギリス
- 配給
- ギャガ
映画『スーパーノヴァ』の作品概要
長年連れ添った同性カップルが、不治の病をきっかけに厳しい決断を迫られてしまう本作。2人の行動は食い違ってしまうが、その根幹には変わることなく深い愛が存在する。この良質なラブストーリーを手掛けたのが、本作が2本目の長編映画となるハリー・マックイーン。経験が浅いからと言って甘く見てはいけない。元々は俳優出身だったハリーが手掛けた脚本がスタンリー・トゥッチという大物俳優の心を動かし、結果的にあのコリン・ファーストすら巻き込んだ超大作へと仕上がったのだ。イギリスに存在する美しい景色も存分に楽しめる、是非映画館で見たい作品。
映画『スーパーノヴァ』の予告動画
映画『スーパーノヴァ』の登場人物(キャスト)
- サム(コリン・ファース)
- ピアニストとして活躍している。タスカーとは20年以上の仲で、最期の時まで彼と共にいたいと願う。
- タスカー(スタンリー・トゥッチ)
- 作家として活動している。ある日死の病に罹っていることが発覚し、サムのこれからの幸せのために、彼との別れを決意する。
映画『スーパーノヴァ』のあらすじ(ネタバレなし)
サムとタスカーは、20年以上連れ添った熟年の同性カップル。同性カップルに対して世間の目が厳しいこともあったが、それでも友人や家族らに恵まれた2人は、穏やかで充実した日々を送っていた。しかし、そんな2人の幸せな日々は突如終わりを迎えることになる。タスカーが、不治の病に侵されていることが分かったのだ。サムは、それでも尚、最後の瞬間までタスカーと共にありたいと願った。一方、タスカーはサムを愛しているからこそ、この関係を終わりにしてサムに新たな生活を送ってほしいと願った。互いを思い合っているという事実はこれまでと変わらないにもかかわらず、2人の想いはすれ違ってしまう。そして、悩んだ末に彼らが下した決断とは。
映画『スーパーノヴァ』の感想・評価
名優同士の共演
最新作は、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチという、ハリウッドが誇る実力派俳優による最高峰の演技が楽しめる。奇しくも同い年である2人は、これまで数多くの作品に出演してきた。コリン・ファースの方が知名度は高いかもしれないが、実力ではスタンリーも引けを取らない。『プラダを着た悪魔』や『ラブリーボーン』、『ハンガー・ゲーム』シリーズなど数多くの話題作に出演しているスタンリーは、必ずどこかで見たことがある俳優。主演としてもゴールデン・グローブ賞を受賞、助演としてもアカデミー賞でノミネートされるなど、輝かしい経歴を誇る。そんな2人の共演なのだから、クオリティの高い作品に仕上がっていること請け合い。たまには、良質な作品に心から浸ろう。
コリン・ファースの演じ分け
後述するが、最新作と、映画史に名を残す名作『シングルマン』は似通った部分が多い。コリン・ファースが熟年同棲カップルを演じた感動作。しかも、いずれの作品においても、コリン・ファースが最愛の人に遺されるという悲しい運命にある男性を演じている。しかし、当然登場人物の設定が違うのだから、主人公が選び取る選択や、その時の感情、行動は異なってくる。コリン・ファースといえば、アカデミー賞も受賞している実力派俳優。その違いを、コリン・ファースがその類稀なる演技力をもってどのようにして演じ分けるのか、映画ファンであれば気になるところ。是非、両方の作品を見比べてみたい。
食い違ってしまう想い
本作は、非常に深い愛の物語である。深く愛し合っていた2人の心は、タスカーの死の病をキッカケに少しずつすれ違ってしまう。本作の難しいところは、サムの選択もタスカーの選択も、どちらも間違いではないという点。相手を愛しているからこそ最期の時まで一緒にいたい、愛しているからこそ相手の新しい幸せを願う。どちらも心からの愛情からきている選択であり、それを否定することは誰にもできないのだ。そして、これは決して他人事ではない。もし、自分が長年連れ添った夫やパートナーに死の病が見つかった時、あなたならどうするだろうか。自分と登場人物を重ねた時、登場人物に感情移入してしまい、思わず涙してしまうこと必須の感動作。
映画『スーパーノヴァ』の公開前に見ておきたい映画
シングルマン
長年連れ添った同性カップル、幸せな時間が突如片方の不幸によって終わりを迎えてしまう。そして、コリン・ファースが主要人物として出演しているという、最新作と共通点の多い作品。コリン・ファースは、本作で英国アカデミー賞を始めとした様々な賞を獲得するなど高い評価を得ている。コリン・ファース演じる大学教授のジョージは、失意の真っ只中にいた。長年連れ添った恋人ジムが、突如交通事故で命を落としてしまったのだ。ジムがいない世界で生きていても意味がない。そう感じたジョージは、遺書を書き弾丸を購入した。自らの人生の店じまいを進めていたジョージだったが、そんな彼に、教え子のケニーが近づいてきて…?
詳細 シングルマン
英国王のスピーチ
コリン・ファースは、英国が誇る名優中の名優。『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズのようなラブコメや、『キングスマン』シリーズなどのアクション、『裏切りのサーカス』のようなサスペンスなど、非常に幅広い作品に出演している。最新作でも、圧倒的な演技力を見せつけてくれることだろう。数多くの作品に出演してきたコリン・ファースだが、その中でもトップレベルで評価されているのが本作。実在したイギリスの王、ジョージ6世を描いた伝奇的作品。ジョージ6世は、吃音症に悩まされていた。吃音症のジョージ6世は国民の前でスピーチをすることができず、自分は王には相応しくないと打ちひしがれていた。そんな彼の前に現れたのが、平民出身の言語聴覚士、ライオネル。果たしてジョージ6世は吃音症を、乗り越え、国民にスピーチを届けることができるのか。
詳細 英国王のスピーチ
スポットライト 世紀のスクープ
前述した通り、最新作でタスカーを演じるスタンリー・トゥッチも、ハリウッドが誇る実力派俳優。その実力は、共演者のコリン・ファースにも引けを取らない。そんな彼が、かつて全米映画俳優組合賞でキャスト賞を獲得したのが本作。ボストンを中心に起こっていた、カトリック司祭による性的虐待事件をテーマとした作品。驚くべきことに実話である本作は、2003年のボストン・グローブ紙の一面を飾った。この記事を取り上げたのは、『スポットライト』と呼ばれる、ボストン・グローブ社の調査報道班。聖職者による性犯罪という、禁忌とも呼ぶべき事件に勇気と覚悟を持って踏み込んだ、調査報道班の足取りをたどる。
映画『スーパーノヴァ』の評判・口コミ・レビュー
『スーパーノヴァ』
深々と静かに心染み入る良作。
C・ファース、S・トゥッチ共演、病をきっかけに愛し合う二人が共に歩んだ人生を過去の思い出を手繰りながらお互いの関係に終止符を打つ。
観賞後「悲しくない別れって存在するのかな…」という思いに耽ける…
振り返ると同じ世界にいるけど見ている pic.twitter.com/JE495C6Xoh— リンダ (@cinemax_linda) July 1, 2021
『スーパーノヴァ』鑑賞
科学であり哲学であり文学である豊かな映画だった。
星くずが銀河を旅し、男となりただ1人の男と出逢う。そこから更に長い時間を共に歩んでもまだ時間が足りない。なんと壮大で美しく残酷な物語か。全てを忘れ去りこの身体が器のみになった時、愛を星の爆発に重ねる苛烈さよ。 pic.twitter.com/BOqtpbrWwn— ごはんですよ*SDGs (@1119_minami) July 3, 2021
#スーパーノヴァ 見た。
映画が始まった瞬間そこにはコリンもトゥッチさんもいなくて、ただサムとタスカー2人の世界があった。
若年性認知症が進行するタスカーを心配し、手助けし、深く愛するサム。見つめる目。触れる手。抱擁する体がとても優しい。映画を見てる間ずっとサムに包まれてる感じがした pic.twitter.com/MLMMTGowqs— Tiggy (@MrsTiggy2) July 2, 2021
『スーパーノヴァ』鑑賞
愛する人との最期にどう向き合うか
見守る側と見守られる側
抑えた演技でみせてくる両者の繊細な気持ちにジワジワと心を揺さぶられた
愛し合う二人の本音が強くぶつかっても、見せ過ぎず押し付けがましさもない
威厳に満ちた作品だった
切ない余韻はなかなか消えないけれど… pic.twitter.com/E78GHov4PU— yokito (@yogini_yokito) July 3, 2021
死を目前にし、互いの事しか考えられない主人公同性カップルの孤独な姿が切な過ぎる
しかし、命の終焉だけでなく、新たな生命の源という前向きな輝きも有する本作のタイトル
ここに製作陣が込めた「どんな形の愛も、等しく尊重し扱いたい」という強い思いを受け取って仕方がなかった pic.twitter.com/WLisULgTbS— ️☀️️ (@Apollo45811441) July 4, 2021
映画『スーパーノヴァ』のまとめ
実は、本作で最初に出演オファーを受けたのはスタンリー・トゥッチだった。この作品の脚本を読み込んだスタンリーは、タスカーとサムの深い愛情を正確に描写するには、キャスト陣もまた深く繋がる必要があると感じたという。そして、自らコリン・ファースに出演を依頼したのだ。同い年の2人は、ハリウッドという厳しい弱肉強食の世界で20年以上共に生き残ってきたライバルであり友人。そして、スタンリーの予想は的中する。実際に深い絆で結ばれている2人だからこそ描き出せる、タスカーとサムの愛情が、視聴者の心を大きく動かす。感動必至の良質な一本。
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