天才作家ジョゼフ・キャッスルマンは、ノーベル文学賞を受賞する。妻のジョーンと息子のデビッドと共に授賞式に参加するため、スウェーデンを訪れた。実は、この夫妻にはある秘密があった。
映画『天才作家の妻 40年目の真実』の作品情報
- タイトル
- 天才作家の妻 40年目の真実
- 原題
- The Wife
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2019年1月26日(土)
- 上映時間
- 101分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- ビョルン・ルンゲ
- 脚本
- ジェーン・アンダーソン
- 製作
- ロザリー・スウェドリン
ミタ・ルイーズ・フォルデイガー
クローディア・ブリュームフーバー
ジョー・バムフォード
ピアース・テンペスト - 製作総指揮
- ジェーン・アンダーソン
ビョルン・ルンゲ
ゲロ・バウクネット
マーク・クーパー
フローリアン・ダーゲル
トマス・エスキルソン
ガード・シェパーズ - キャスト
- グレン・クローズ
ジョナサン・プライス
クリスチャン・スレイター
マックス・アイアンズ
ハリー・ロイド
アニー・スターク
エリザベス・マクガバン - 製作国
- スウェーデン・アメリカ・イギリス合作
- 配給
- 松竹
映画『天才作家の妻 40年目の真実』の作品概要
メグ・ウォリッツァー原作の小説『The Wife』を元に作られた作品。主人公のジョーンは「女性」であるために作家としての道を諦め、夫のゴーストライターとなった人物である。夫のノーベル文学賞受賞を機に、そのことを世間に公表するか黙っているか葛藤を抱えることになる。そんなジョーンを演じたのは、アカデミー賞に6回ノミネートされたことがある女優のグレン・クローズである。本作でのグレン・クローズの演技も好評で、アメリカでは本作品の2度目の上演が行われている。
映画『天才作家の妻 40年目の真実』の予告動画
映画『天才作家の妻 40年目の真実』の登場人物(キャスト)
- ジョーン・キャッスルマン(現在:グレン・クローズ / 若い頃:アニー・スターク)
- 作家としての才能があったが、「女性」であることを理由に作家になる夢を諦める。妻子がいたジョゼフと恋に落ち、結婚する。結婚後、ゴーストライターとして夫を支える。
- ジョゼフ・キャッスルマン(現在:ジョナサン・プライス / 若い頃:ハリー・ロイド)
- ジョーンの夫。二流作家だったが、ジョーンのお蔭で「現代文学の巨匠」と呼ばれるほど活躍する。
- ナサニエル・ボーン(クリスチャン・スレイター)
- 記者。ジョーンがジョゼフのゴーストライターではないかと疑い、調査を行っている。
- デビッド・キャッスルマン(マックス・アイアンズ)
- ジョーンとジョゼフの息子。駆け出しの作家。作家として活躍する父親に対して、劣等感を抱いている。
映画『天才作家の妻 40年目の真実』のあらすじ(ネタバレなし)
天才作家ジョゼフ・キャッスルマンは、ノーベル文学賞を受賞することになった。周囲は彼の功績を喜んだ。そんな彼を支え続けたのは、妻のジョーン・キャッスルマンである。夫婦は息子のデビッドと共に、授賞式に参加するためストックホルムを訪れた。
有頂天になったジョゼフは、傍若無人な言動でジョーンの心を傷つけた。そんなジョーンを待ち構えていたのは、記者のナサニエルだった。ナサニエルは結婚した後にジョゼフが傑作を発表しだしたことから、ジョーンが代わりに書いているのではないかという疑いを持っていた。
キャッスルマン夫妻には秘められた過去があった。2人が出会った頃、ジョゼフは教授でジョーンは学生だった。ジョゼフには妻子がいたが、2人は結ばれた。その頃、ジョーンは作家を夢見ていた。しかし、女流作家はなかなか認めてもらえない厳しい世界であったため、ジョーンは夢を断念しなければならなくなる。ナサニエルが思っていた通り、ジョーンは自らの才能を使い、夫を支え続けてきたのだった。
映画『天才作家の妻 40年目の真実』の感想・評価
妻であり1人の才能溢れる女性であるジョーンの決断
ジョーンは文才に恵まれた人物で、作家としての才能があった。しかし、彼女が若い頃は、女流作家がなかなか認めてもらえないような時代だった。ジョーンはそんな時代に失望し、作家になる夢を諦めなければならなくなる。そんな時、彼女が愛していたのが、作家としては二流のジョゼフである。
ジョーンとジョゼフは結婚し、ジョーンはゴーストライターとして自分の才能を惜しみなく夫に捧げ続けた。しかし、ジョゼフがノーベル文学賞を受賞することになったことで、全てが崩壊してしまう。有頂天になったジョゼフは支えてもらっていることも忘れ、「妻に小説など書けない」とジョーンを貶す言葉を周囲に漏らしてしまう。ジョーンの心は傷つき、秘密を公表するべきか隠し通すべきかで揺れ動く。ジョーンの決断によって結末が全く違ったものになるため、ドキドキハラハラさせられるストーリーになっている。
グレン・クローズとアニー・スターク
ジョーンを演じたのは、アメリカ出身の女優グレン・クローズである。グレン・クローズは今までにアカデミー賞に6回ノミネートされたことがあり、本作品の演技にも注目が集まっている。グレン・クローズは本作品で、既に「第76回ゴールデングローブ賞・主演女優賞」や「第28回ゴッサム・インディペンデント映画賞・主演女優賞」などの各賞にノミネートされている。この結果を受け、アメリカでは2度目の上演が行われており、異例のヒットを記録している。
ジョーンの若かりし頃を演じたのは、グレン・クローズの実の娘であるアニー・スタークである。アニー・スタークは映画『アルバート氏の人生』(11)やドラマ『South Pacific』(01)などに出演している。ぜひ、親子の演技に注目しながら見て欲しい。
ノーベル賞の授賞式が舞台
本作品はメグ・ウォリッツァー原作の小説『The Wife』を元に作られている。脚本を担当したジェーン・アンダーソンは、映画化するに当たりアレンジを加えている。その中の1つが、ノーベル賞の授賞式が物語の重要な舞台になっていることである。原作の小説では、ジョゼフはフィンランドの賞を受賞することになっている。それでは物語にドラマティックさが足りないと思い、ノーベル賞に変更されたのである。
ノーベル賞はダイナマイトの発明者・アルフレッド・ノーベルの遺言によって作られた賞である。物理学、生理学・医学、文学などの分野があり、顕著な功績を残した人物に贈られている。世界的にもノーベル賞は注目されており、今までにキュリー夫人として有名なマリ・キュリーや国際連合難民高等弁務官事務所(国際連合の難民問題に関する機関)などが受賞している。
映画『天才作家の妻 40年目の真実』の公開前に見ておきたい映画
アルバート氏の人生
グレン・クローズの代表作。グレン・クローズは本作品の主演・制作・脚本・主題歌に携わっている。娘のアニー・スタークも出演しており、初の親子共演作になった。グレン・クローズは「第24回東京国際映画祭コンペティション部門・最優秀女優賞」を受賞している。19世紀のアイルランドが物語の舞台になっている。
19世紀、女性が1人で生きていくのは困難な時代だった。アルバート・ノッブスは性別を男性と偽り、ホテルのレストランでウェイターとして働いていた。アルバートの丁寧な接客は、お客様にも好評だった。ある日、泊まり込みで仕事をすることになったペンキ屋の男性ヒューバート・ペイジを、自分の部屋に泊めなければならなくなる。ヒューバートはアルバートが女性であることに気づくが、周囲には話さなかった。なぜなら、ヒューバートも男性と偽って生きている女性だった。
詳細 アルバート氏の人生
パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち
ジョナサン・プライスの代表作。キーラ・ナイトレイが演じたエリザベス・スワンの父親、ウェザビー・スワンを演じた。主演を務めたのはジョニー・デップ。日本でも公開されており、68億円の興行収入を記録している。メインテーマ曲とも言える『彼こそが海賊(He’s a Pirate)』は、他のテレビなどにも使われるほど印象的な楽曲になっている。
少年ウィリアム・ターナーは海賊の船に襲われ、筏に乗って逃げ出すが気絶してしまう。そんな彼を救ったのは、総督の娘エリザベス・スワンだった。エリザベスはウィリアムの胸に髑髏が描かれたペンダントがぶら下がっていることに気づき、こっそり隠した。8年後、ウィリアムとエリザベスはお互い好意を持っていたが、身分違いの恋のため口に出すことはできずにいた。そんな時、エリザベスはノリントン提督にプロポーズされてしまう。
アトミック・ブロンド
「女性」にスポットが当てられた作品。シャーリーズ・セロンが主演を務めており、イギリスの秘密情報部MI6の優秀なエージェントを演じている。男性が演じるスパイ映画が多い中、女性スパイの活躍を描く本作品は異色の作品と言える。シャーリーズ・セロンは厳しいトレーニングを行い、撮影に挑んでいる。迫力ある戦闘シーンにはぜひ注目してもらいたい。
1989年ベルリン。ロレーン・ブロートンはMI6のエージェントで、潜入と脱出、接近戦のプロとして活躍していた。ある日、世界情勢に大きな影響を及ぼす資料が何者かに奪われる事件が起きる。ローレンはその資料の奪還と、MI6の中にいる裏切り者の二重スパイを探すよう命じられる。相棒としてデヴィッド・バーシヴァルを派遣されるが、誰が裏切り者か分からないため信じることはできなかった。
詳細 アトミック・ブロンド
映画『天才作家の妻 40年目の真実』の評判・口コミ・レビュー
ビョルン・ルンゲ監督「天才作家の妻 40年目の真実」@新宿ピカデリー。グレン・クローズ&ジョナサン・プライス。まさに舞台を観たよう。濃密な台詞劇を堪能できる。物語自体は、これは観る者の人生によって色々と想いが異なるか。しかし、やはり結局女性は強いか。主演二人が素晴らしい。必見。 pic.twitter.com/S1ZZgsUBAf
— shinichi A BE-AR (@purissima_bear) 2019年1月27日
『天才作家の妻 40年目の真実』映画館にて13本目。
才能とは何なのか?愛とは何なのか?とにかくアカデミー賞主演女優賞ノミネートのグレン・クローズの迫真の演技を観るだけでも価値ある一作。ただこれは夫婦では観に行かない方がいいかも? #EDDIE映画2019 pic.twitter.com/YBNtFPiSNG— EDDIE@KingsPlayoffいこう (@eddie2yuji) 2019年1月27日
『天才作家の妻 40年目の真実』
グレン・クローズさんが良い。ほんの少しの目の動きや首の傾きだけで感情が伝わるアカデミー賞も納得の演技。宣伝でほぼネタバレ感があるけど、あまりそこは気にせず名優達の演技を味わうように観るのがオススメ。また回想シーンでは実の娘さんが出演しています。 #映襖 pic.twitter.com/CtYQo8vkb9— 襖嶋 (@TiBlc) 2019年1月27日
『天才作家の妻 -40年目の真実-』
この人と共に生きていくと決めたジョーンの愛と覚悟。40年という時間の中で幾度となく揺らぎ変化の度に修復してきたのかなって。そんな深い愛がひとつの答えとして形になったノーベル賞。報われたはずの歪な愛やけど報酬の介入は夫婦の絆に今一度波紋を呼ぶ因子となる pic.twitter.com/QaUGfUfdes— コーディー (@_co_dy) 2019年1月26日
『天才作家の妻/40年目の真実』
まるで舞台劇のようなセリフの応酬と凄まじい演技のぶつかり合い!ノーベル文学賞の受賞の陰に隠された秘密とは実のところあまり重要ではなくて、夫婦の間の愛憎と、妻の葛藤がこの映画の主軸なのだと思う。授賞式の夜に、それまで抑えていた二人の感情が噴出する!🤯 pic.twitter.com/kryXcXEcUO— Lovelife💛 (@mylovelife0617) 2019年1月26日
映画『天才作家の妻 40年目の真実』のまとめ
「女性」であるために作家としての道を諦め、ゴーストライターとして夫を支えることになったジョーンの姿は、同じ女性にとっては理解できる部分も反発したい部分もあると思う。言葉だけでは伝わらないジョーンの思いや葛藤を、ぜひ映画で見て感じ取って欲しい。ジョーンを演じたグレン・クローズの演技力が高いからこそ、なぜ「影」として夫を支えることにしたのか、スポットライトを浴びる夫にどんな思いを抱いたのか、ジョーンの様々な思いを考えながら見ることができる作品になっている。
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