ジブリ作品のおすすめ映画ランキング10選

長編アニメーションというジャンルで、ひとつのスタジオで作られた作品のランキングが成り立つというのはすごいことだ。そんな偉業を成し遂げてしまった、スタジオジブリの名作たちを紹介したい。順位を作品の優劣と考えず、自由な気持ちで楽しんでほしい。

ジブリ作品のおすすめ映画ランキング10選

第1位 千と千尋の神隠し


神々が集まる不思議な世界へ迷い込んだ小学生の千尋が、多くの困難に直面しながらたくましく成長していく。宮崎駿監督は、この作品を完成させたことで、世界が認める巨匠となった。

私はこの作品を、優れた児童文学のような作品だと思っている。例えば、サン・テグジュペリの「星の王子さま」やトーベ・ヤンソンのムーミン童話、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」などがそれに当たる。優れた児童文学には、多くの謎がある。この作品も、カオナシは結局何なのだ…なぜ坊はあんなに巨大なのか…そもそも千尋が迷い込んだあの場所は一体…などなど、何度見ても数多くの疑問とモヤっとした余韻が残る。その奥行きが、この作品の最大の魅力ではないだろうか。

宮崎駿監督から溢れ出すイメージを、見事なアニメーションに仕上げたジブリの技術力も素晴らしい。宮崎駿監督とスタジオジブリの成熟した個性が、最も濃厚につまったジブリの最高峰。それがこの「千と千尋の神隠し」なのだ。

詳細 千と千尋の神隠し

第2位 風の谷のナウシカ


制作はジブリの前身であるトップクラフトだが、ジブリの公式HPでもジブリ作品として紹介されているので、このランキングに加えても差し支えないだろう。宮崎駿監督のずば抜けた才能を世に知らしめた不朽の名作であり、「千と千尋の神隠し」と並んで宮崎駿監督の代表作に推したい作品だ。

人間が破壊した世界を、有毒ガスを発しながら黙々と再生している腐海の植物と、それを守る巨大化した蟲たち。誰もが恐れる腐海や蟲を、風の谷の姫であるナウシカだけは、この世界のために必要な存在だと考え、彼らとの共存を目指そうとする。

宮崎駿監督は、一貫して“地球は人間だけのものではない”という視点でこの世界を見ている。いかに文明が発達しても、人間だけが生き残る世界などあり得ないということを、この作品は教えてくれる。

詳細 風の谷のナウシカ

第3位 天空の城ラピュタ


「風の谷のナウシカ」と同じく、原作・脚本・監督を宮崎駿、製作を高畑勲が務めたスタジオジブリ制作の長編アニメーション第1弾。

ラピュタ王族の末裔である少女シータと彼女を助けた少年パズー、ラピュタの強大な力を使って世界征服を企むムスカ、さらにラピュタの財宝を狙う空中盗賊のドーラ一家が、天空に浮かぶ伝説のラピュタを目指す。

本作は、ジブリ作品の中で最も娯楽性の高い作品ではないだろうか。囚われの身となっていたシータが、飛行船から転落していく冒頭部分に始まり、その後何度もスリル満点のアクションシーンが展開される。ムスカというはっきりとした悪役がいるので、ストーリーも非常にわかりやすい。高い娯楽性に加えて、切ないロボット兵や、人間味あふれるドーラの存在など、宮崎駿監督らしい魅力的なキャラクターが物語に色を添え、何度見ても面白いファンタジー・アドベンチャー映画に仕上がっている。

詳細 天空の城ラピュタ

第4位 となりのトトロ


サツキとメイという元気な姉妹が、引越し先の田舎で、トトロやネコバスといった不思議な生き物と遭遇する。

公開時の興行収入こそ振るわなかったが、トトロやネコバスの愉快なキャラクターは、子供たちから絶大な支持を得て、映画もキャラクターグッズも末永く愛され続けている。

ディズニーアニメーションのように、きれいなお姫様やおしゃべりをする動物などは一切登場しないが、たいていの子供はこの作品を夢中で見る。それは、この作品が等身大の子供の目線で描かれているからだろう。サツキもメイも子供そのものであり、だから同じ年頃の子供たちは自然と2人に共感する。そしてサツキやメイと一緒にトトロと出会い、ネコバスに乗りこむ。映画を見た後は、家の近所を冒険したくなるに違いない。そこには、子供だけに見える「となりのトトロ」の世界がある。

詳細 となりのトトロ

第5位 かぐや姫の物語


昔話として一般的に語られる「かぐや姫」の筋書きは、ほとんどの人がご存知だろう。本作も大筋は誰もが知っている昔話と同じだが、高畑勲監督は“なぜかぐや姫は地上にやってきたのか”について言及している。その謎を紐解く鍵は、かぐや姫の罪と罰にある。その考察がなんとも深い。

かぐや姫の罪と罰については、ぜひこの映画を鑑賞して、ご自身で考えてみてほしい。ヒントは、かぐや姫が暮らしていた月の世界は極楽浄土の世界であり、それとは逆に地上は苦しみや悲しみに満ち溢れた世界であるということ。その背景をもとに、高畑勲監督はかぐや姫の姿を通して“生きる”ということを全力で肯定している。

職人の粋を結集したアニメーションも実に素晴らしく、商業映画にはない芸術性の高さを感じさせる。キャラクターも背景に描かれた自然の草木も生命力に満ち溢れており、映像からたくましい鼓動が聞こえてくるようだ。

詳細 かぐや姫の物語

第6位 もののけ姫


1985年に設立されたスタジオジブリが、長編アニメーション制作会社としての実績を積み重ね、満を持して挑んだ超大作がこの「もののけ姫」。まさに“機は熟した”という言葉がぴったりはまる、宮崎駿監督の分岐点となった作品である。

とにかく莫大な予算と手間暇かけた作画は圧倒的で、ジブリ作品を支え続けてきた美術担当の男鹿和雄が、その高い技術力と美的センスを余すとこなく発揮している。作品全体から可愛らしいキャラクターが排除され、物語もシリアスな展開が続く。この変化に戸惑ったジブリファンは多かったと思うが、この作品に挑戦したことで、宮崎駿監督は世界から注目される映画監督へと成長を遂げていく。

美輪明宏と森繁久弥の重厚な声はズシッと胸に響き、神秘的ですらある。モロの君と乙事主の放つ存在感は、ただことではない。

詳細 もののけ姫

第7位 火垂るの墓


先に紹介した「となりのトトロ」と「火垂るの墓」は、1988年に同時上映された。当時映画館を訪れ、この二本立てを見た観客は、度肝を抜かれたことだろう。それほどこの作品から受ける衝撃はすごい。

激しい空襲が続く終戦間際の日本で、14歳の少年と4歳の幼い妹が必死で生き抜こうとする。しかしその結末は、あまりにも悲しい。

高畑勲監督自身は、“これは反戦映画ではない”と言い切っているが、この作品ほど戦争の残酷性を痛感させられる映画も少ない。嫌な言い方になるが、戦争という極限状態はドラマになりやすい。しかしこの作品は、そういうドラマ性の強い戦争映画とは全く違う。戦争孤児となった兄弟が少しずつ衰弱していく姿をリアルに淡々と描いている。私たちはなすすべもなく、幼い節子が死にゆく姿を見守るしかない。この救いのなさこそが戦争なのだと、泣き疲れてボーッとした頭で考える。そして心から戦争は嫌だと思う。高畑勲監督がいくら否定しても、やはりこの作品は強烈な反戦映画になっている。だからこそ多くの人に見て欲しい。

詳細 火垂るの墓

第8位 紅の豚


ポルコ・ロッソと呼ばれる豚の姿をした凄腕の飛行艇乗りが、美しいアドリア海を舞台にひと暴れする。

この作品は、あまりジブリ作品を見ないような男性からの支持が高い。なぜなら、作品全体に“男のロマン”が溢れているからだ。ポルコはよく太った豚人間だが、非常にダンディでかっこいい。森山周一郎の渋い声も、ポルコのキャラクターにぴったりだ。さらに薄幸の美女マダム・ジーナとの関係も実にロマンチック。うっとりするようなロマンチシズムと陽気な娯楽性がバランスよく融合しており、本当の意味で大人から子供まで楽しめる。

例えば、ジャン・ギャバンに憧れているような渋いおじさまにも、この作品ならおすすめできる。

詳細 紅の豚

第9位 魔女の宅急便


魔女の修行をするため、親元を離れた13歳のキキが、初めて訪れた町で挫折を繰り返しながら成長していく。原作は角野栄子の同名児童文学。

こちらは「紅の豚」とは対照的に、若い女性に人気の高い作品。魔女といっても空を飛ぶしか特技のないキキは、思春期を迎えた普通の女の子なので、彼女の悩みや葛藤はとても共感しやすい。子供時代と決別するとき、自分の無力さを痛感して自信を失くす時期がたいていの人にはある。自立を目指す中でキキがぶち当たる壁は、魔法では崩せない。周囲の人々に助けられ、傷つきながらも前へ進み、キキは少しずつ成長していく。それは私たちの思春期と、何ら変わりない。

キキの成長物語は、普遍的な青春映画の要素が強い。しかし映像や設定はやはりファンタジーなので、いい意味で青春の泥臭さは排除されている。そこが女性ファンから支持される所以だろう。

詳細 魔女の宅急便

第10位 ハウルの動く城


ダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説「魔法使いハウルと火の悪魔」を、宮崎駿が脚本と監督を務めて長編アニメーションにした。宮崎駿監督が別の原作者の作品を映画化するのは、「魔女の宅急便」に続いて2作目。

荒地の魔女の魔法によって90歳の老婆にされてしまった18歳のソフィーと、火の悪魔カルシファーと契約して強い魔力を得た魔法使いのハウルが出会い、守るべきものを見つけていく。

初見ではピンとこないと感じる人が多かったかもしれない。ところが、何回か見ているうちに、何となく癖になってくるのがこの作品の不思議な魅力だ。その秘密は、ソフィーとハウルを取り囲む、マルクル、カルシファー、荒地の魔女といった脇役の魅力にあるのではないだろうか。彼らの存在は心に残る。彼らを好きになると、作品全体の世界観が好きになる。そしてだんだん、この映画にはとても夢があるということがわかってくるのだ。

詳細 ハウルの動く城