リナは遺体を永久保存できる施術(プラスティネーション)の存在を知る。師と仰いだエマから、その技術を学んだ。一方、エマの弟である天音は、「不老不死」の技術を完成させる。リナは天音の施術を受け、人類初の「不老不死」を得た女性となる。
映画『Arc アーク』の作品情報
- タイトル
- Arc アーク
- 原題
- なし
- 製作年
- 2021年
- 日本公開日
- 2021年6月25日(金)
- 上映時間
- 127分
- ジャンル
- SF
ヒューマンドラマ - 監督
- 石川慶
- 脚本
- 石川慶
澤井香織 - 製作
- 河野聡
池田宏之
加倉井誠人
仲吉治人 - 製作総指揮
- ケン・リュウ
川城和実 - キャスト
- 芳根京子
寺島しのぶ
岡田将生
清水くるみ
井之脇海
中川翼
中村ゆり
倍賞千恵子 - 製作国
- 日本
- 配給
- ワーナー・ブラザース映画
映画『Arc アーク』の作品概要
ケン・リュウ原作のSF短編小説『円弧(アーク)』を元に制作された作品。人類初の「不老不死」となった女性の波乱の日々が描かれている。女優の芳根京子が主演を務めており、若い身体のまま100歳以上を生きることになったリナを演じた。リナの師であるエマ役を務めた寺島しのぶや、天才科学者の天音役を務めた岡田将生など、豪華なキャストが集結している。映画『蜜蜂と遠雷』(19)を手掛けた石川慶が、監督&脚本&編集を担当した。
映画『Arc アーク』の予告動画
映画『Arc アーク』の登場人物(キャスト)
- リナ(芳根京子)
- エマの下で遺体を生きたまま保存する仕事に就く。天音の施術を受け、人類初の「不老不死」を得た女性となる。
- エマ(寺島しのぶ)
- リナが師と仰ぐ女性。リナに遺体を生きていた姿のまま保存する技術を教える。
- 天音(岡田将生)
- エマの弟。天才科学者。「不老不死」の技術を完成させる。リナに「不老不死」の施術を行う。
映画『Arc アーク』のあらすじ(ネタバレなし)
17歳のリナは、恋人の子を身籠る。その後、息子が誕生するが、自由を求める彼女は育てる気がなかった。リナは息子と別れ、放浪生活を始めた。
19歳のリナは大手化粧品会社で、静かな雰囲気を漂わせる女性・エマと出会う。エマは遺体を生きた姿のまま永久的に保存(プラスティネーション)する仕事を行っていた。リナが遺体に触れると、皮膚は柔らかく今にも動き出しそうだった。リナはエマを師と仰ぎ、その技術を学んでいく。
エマの弟の天音は、天才科学者だった。彼は「不老不死」の技術を完成させ、それをリナに施した。30歳のリナは、人類初の「不老不死」の女性となったのだ。やがて「不老不死」が当たり前の世界になる。若い身体のまま生き続けるリナは、一体何を思うのか?
映画『Arc アーク』の感想・評価
SF小説家として有名なケン・リュウ
ケン・リュウ原作の短編小説『円弧(アーク)』を元に制作されている。小説家としてだけでなく、弁護士、コンピュータープログラマー、中国のSF小説の翻訳家としても活躍しており、多彩な才能を発揮している人物である。ケン・リュウはエグゼクティブプロデューサーの一人として、本作の制作にも携わっている。
短編小説『円弧(アーク)』以外の代表作は、短編小説『紙の動物園』(11)である。この短編小説は、「2012年ネビュラ賞 短編小説部門」と「2012年ヒューゴー賞 短編小説部門」と「2012年世界幻想文学大賞 短編部門」を受賞している。いずれもアメリカ国内で有名で、栄誉ある賞である。三冠を達成したしたのは、史上初めてのことだった。
芳根京子が不老不死の女性を熱演!
女優の芳根京子が、人類初の「不老不死」となる女性・リナ役を務めている。放浪生活を始める10代~若い身体のまま100歳以上を生きる波乱の日々を熱演している。芳根京子はNHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』(14)や2021年4月30日から放送されているテレビドラマ『半径5メートル』などの作品に出演している。
女優の寺島しのぶは、リナの師となるエマ役を務めている。2021年4月9日に公開された映画『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』や2021年8月6日に公開予定の映画『キネマの神様』にも出演している。
俳優の岡田将生が、天才科学者の天音役を務めている。「第34回エランドール賞 新人賞」や「第14回 コンフィデンスアワード・ドラマ賞 主演男優賞」など、様々な賞を受賞している名俳優である。
映画『愚行録』や映画『蜜蜂と遠雷』を手掛けた石川慶監督作品
石川慶が監督&脚本&編集を担当した。石川慶は映画『愚行録』(17)で長編監督映画デビューを果たし、「2017年新藤兼人賞銀賞」を受賞している。その他、コンテストに出場するピアニスト達の繊細なやり取りを描いた映画『蜜蜂と遠雷』(19)を手掛けている。映画『蜜蜂と遠雷』(19)は「第43回 山路ふみ子映画賞 作品賞」を始め様々な賞を受賞しており、高く評価された。
石川慶と共に脚本を担当したのは、澤井香織。アンソニー・ドーア原作の短編小説を実写化した映画『シェル・コレクター』(16)や、角田光代原作の恋愛小説を実写化した映画『愛がなんだ』(19)などの作品の脚本を手掛けている。そして、2021年10月15日に公開予定の映画『かそけきサンカヨウ』にも、脚本家の一人として関わっている。
映画『Arc アーク』の公開前に見ておきたい映画
蜜蜂と遠雷
石川慶が監督&脚本&編集を担当した作品。恩田陸原作の青春群像小説を元に制作された。原作の小説は「第156回直木三十五賞」と「第14回本屋大賞」を受賞している。女優の松岡茉優が主演を務めており、音楽界の表舞台から姿を消したピアノの才能を持つ女性・栄伝亜夜を演じた。
世界最高峰と言われている芳ヶ江国際ピアノコンクールに、4人の天才が挑もうとしていた。一人目は栄伝亜夜。彼女は幼い頃、天才少女としてコンクールで輝かしい成績を残していた。しかし、母が他界したことをきっかけに、表舞台から姿を消していた。二人目は一児の父でもある高島明石。年齢制限により、今年が最後のチャンスだった。三人目は優勝候補のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール。そして、四人目は謎の少年・風間塵。4人それぞれの人生を懸けたコンクールの結末とは?
詳細 蜜蜂と遠雷
今日も嫌がらせ弁当
芳根京子が女優の篠原涼子が演じた持丸かおりの次女・双葉役で出演している。シリーズ累計発行部数20万部を突破した、Kaori(ttkk)著書のエッセイを元に制作された作品。「27thキネコ国際映画祭 特別賞」を受賞している。4人組バンド「フレンズ」の楽曲『楽しもう』が主題歌に起用された。
持丸かおりは夫を事故で亡くし、女手一つで二人の娘を育てていた。次女の双葉は高校生で、反抗期を迎えていた。かおりは双葉に対抗&嫌がらせをするため、「キャラ弁」を作ることにした。そして、その「キャラ弁」を写真付きでブログに載せることにした。かおりと双葉は不器用ながらも、「キャラ弁」を通して思いを通わせていく。そんなある日、かおりが倒れてしまう。
詳細 今日も嫌がらせ弁当
永遠に美しく…
薬によって不老不死となった女性達の激しいやり取りが描かれた作品。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを手掛けたことで有名なロバート・ゼメキスが監督を務めた。「第65回アカデミー賞 視覚効果賞」を受賞している。メリル・ストリープ、ゴールディ・ホーン、ブルース・ウィリスなど豪華なキャストが出演している。
マデリーン・アシュトンは女優として活躍していたが、旬は過ぎていた。ある日、友人でライバルのヘレン・シャープに誘われ、パーティーに出席する。実は、マデリーンはヘレンの恋人だったアーネストを奪い、結婚していた。そのため、二人の関係は最悪だった。傷ついたヘレンは、暴飲暴食を繰り返して太っているはずだった。だが、マデリーンが再会したヘレンは太っておらず、若さと美しさを兼ね備えていた。
詳細 永遠に美しく…
映画『Arc アーク』の評判・口コミ・レビュー
「Arc アーク」
弧を描くように、自然は周る。世界は移り変わる。その中で自分がどう変わるか。或いはどう変わらないか。生から死を取り除いたらそれは不変の生命と呼べるのか。時に思い出す”懐かしさ”は、自分自身が変わったからこそ感じるものなのだ。ラストシーンが訪れた瞬間に涙腺崩壊。傑作。 pic.twitter.com/d0FWah2fKc
— 8637 (@H9ido) June 27, 2021
『Arc アーク』を鑑賞。所謂解り易い作品ではないし、ストーリーに大きな起伏がある訳でもない。しかし近未来感とノスタルジーが同居した幻想的なショットの連続と俳優陣の好演により、スクリーンから目が離せなかった。「永遠の命」という壮大なテーマの仮面を被った、ひたすらに普遍的で身近な作品。 pic.twitter.com/9mL08hwwtO
— ニシカワ (@Shin_zi_723H) June 25, 2021
#Arcアーク
これは!myベストに入るSF。
アートとビジュアルに包まれた隠喩で死を問う前半。淡々と静かに流れる時と共に、生を問う楽園へと招かれる後半。死と生の間を独特の空気で見せられ、主人公リナの贖罪や懺悔に想いを馳せた。石川監督と #芳根京子 の非凡さを垣間見た傑作★★★★#Arc #アーク pic.twitter.com/DUcobQHnvp— babooi (@babooimovie) June 25, 2021
「Arc アーク」
やっぱりピオトル・ニエミイスキ×石川慶の生み出す画は多くの邦画のソレとは一線を画すもので更にそこに素晴らしい俳優陣が存在していることは嗚呼眼福。美術や衣装・ヘアメイクへのこだわりもビンビン感じた。素敵。芳根京子の代表作になることは確かですね pic.twitter.com/Ne3jQDCcfE— 🍑Mxぴちょむ🍋 (@FQKliRrmVYXkiep) June 25, 2021
『Arc アーク』
興味深い前半に対して後半は凡庸になっていく印象。至極真当な結末ではあるけど「死こそ生を価値あるものにする」という死生観を否定した事に対してなんの回答もなくそこに帰結するのは違和感がある。その他多くの事を示唆するものの表層だけなぞられた感じは拭えず…#背骨映画 pic.twitter.com/kDU5XEejVX— 背骨改弍号機γ (@sebone_returns) June 27, 2021
映画『Arc アーク』のまとめ
主人公は自由を愛する女性・リナ。放浪生活をしていたある日、エマという女性と出会う。エマは遺体を生きた姿のまま保存する仕事を行っていた。リナはエマの指導を受け、その技術を学んでいく。一方、エマの弟の天音は、「不老不死」の技術を完成させる。リナは「不老不死」の施術を受け、若い身体のまま長い年月を生きることになる。老化と死を超越した彼女は、一体どんな思いを抱くのか?そして、どんな日々を生きることになるのか?リナを通して、「生と死」について深く考えさせられる物語になっている。
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