映画『ギャングース』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし) | MIHOシネマ

「ギャングース」のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

劣悪な環境で生まれ育った“職ナシ”“学ナシ”“犯罪歴アリ”の3人組は、悪党からのみ金を奪う“タタキ”稼業を生業として、サバイバルな日々を生き抜いていく。入江悠監督が、社会の最底辺で生きるアウトローたちの壮絶な青春を鮮やかに描き出す!

ギャングースの作品情報

ギャングース

タイトル
ギャングース
原題
なし
製作年
2018年
日本公開日
2018年11月23日(金)
上映時間
120分
ジャンル
青春
フイルム・ノアール
監督
入江悠
脚本
入江悠
和田清人
製作
不明
製作総指揮
不明
キャスト
高杉真宙
加藤諒
渡辺大知
林遣都
伊藤蒼
金子ノブアキ
篠田麻里子
MIYAVI
製作国
日本
配給
キノフィルムズ

ギャングースの作品概要

漫画・肥谷圭介、ストーリー共同制作・鈴木大介の人気漫画『ギャングース』を原作とした、刺激的な青春エンターテイメント。現代社会の最底辺で生きるアウトローたちの青春を躍動感たっぷりに描き出すのは、『ジョーカー・ゲーム』(15)や『22年目の告白 私が殺人犯です』(17)の入江悠監督。高杉真宙、加藤諒、渡辺大知がトリプル主演を務め、サバイバルな環境の中でたくましく生きる3人の若者を熱演している。

ギャングースの予告動画

ギャングースの登場人物(キャスト)

サイケ(高杉真宙)
本名は斎藤恵吾。悲惨な家庭環境で育ち、小学校もまともに出ていない。少年院を出た後、カズキとタケオと3人で、悪党のみを狙う窃盗団を結成。イケメンで頭が切れるため、タタキ(窃盗、強盗の隠語)の時は情報収集と作戦を担当する。
カズキ(加藤諒)
本名は神童一樹。サイケと同じく、劣悪な環境で育った。少年院で習得した技術を活かし、窃盗団では工具を担当する。
タケオ(渡辺大知)
本名は武藤武夫。サイケとカズキと同じく劣悪な環境で育った。窃盗団では車両担当。
安達(MIYAVI)
多くのカンパニーを所有する犯罪営利組織「六龍天」のトップ。詐欺で大儲けしている。
加藤(金子ノブアキ)
安達の部下。複数の詐欺店舗を統括している。
アゲハ(篠田麻里子)
加藤の部下であり、恋人でもある。

ギャングースのあらすじ(ネタバレなし)

劣悪な環境に生まれ、親から酷い虐待を受けて育ったサイケ、カズキ、タケオの3人は、小学校もまともに通えない子供時代を過ごしてきた。そんな3人は少年院で知り合い、生きていくために窃盗団を結成する。3人は、犯罪行為で儲けている悪党のみをターゲットにしたタタキ(窃盗、強盗)を繰り返し、肩を寄せ合って生きていた。

そんなある日、いつものようにタタキをしていた3人は、偶然、振り込め詐欺のアガリ(収益金)の隠し場所を発見する。思わぬ大金を目にして、舞い上がる3人だったが、その金は犯罪営利組織カンパニーを代表する「六龍天」のものだった。半グレ系アウトローが集まる「六龍天」に目をつけられたら、一巻の終わり。3人は身元がバレないように細心の注意を払いながら、タタキを続ける。しかし、あることがきっかけで、ついに3人の身元が割れてしまい、3人は凶悪な半グレ集団相手に壮絶なバトルを繰り広げることになる。

ギャングースの感想・評価

たくましい“生”を描く

本作の原作となった漫画『ギャングース』は、ルポライターの鈴木大介によるノンフィクション書籍『家のない少年たち』(大田出版)を原案としている。鈴木は『家のない少女たち』(宝島社)や『最貧困女子』(幻冬舎新書)などの著書でも、親や社会から見捨てられた少年少女の生い立ちや現在の状況を克明に記録している。それらの著書を読むと、あまりに衝撃的な内容に絶句してしまう。鈴木が漫画家の肥谷圭介とストーリーを共同制作している『ギャングース』はフィクションだが、主人公たちの生い立ちや、彼らが犯罪者となった経過については、『家のない少年たち』で取材した少年たちのエピソードが反映されている。

本作の主人公となるサイケ、カズキ、タケオの3人は、幼少期に壮絶な虐待を受けている。彼らは物心ついた時から残虐な暴力にさらされ、体にも心にも深い傷を負っている。少年院に入ったきっかけまで悲惨だ。少年院から社会に放り出されても、帰れる家はないし、まともな仕事など見つからない。そんな彼らにとって唯一の武器は、痛みを分かち合える仲間の存在と生きようとするエネルギーのみ。地獄を見てきた彼らの“生”は、どこまでもたくましい。

敵は半グレ集団

小学校もまともに出ていない3人は、同じ穴のムジナの犯罪者のみを狙ったタタキ(窃盗や強盗)で金を稼いで生きていく。その中で、3人の最強の敵となるのが、半グレ集団で構成された犯罪組織のトップに立つ「六龍天」の安達だ。

半グレ集団とは、暴力団対策法や暴力団排除条例の対象となる暴力団には籍を置かずに、裏社会で犯罪行為を繰り返している集団を指す。ヤクザは、組に属していることを公表して、自分の顔や名前を売っていく。しかし、半グレは裏の顔を隠して、様々な詐欺行為やヤミ金経営などで営利を貪っている。この形態は、匿名性や隠密性を重視して、儲け第一主義の経済活動をしている海外のマフィア組織の在り方に近い。そういう意味では、顔や名前を公にしている暴力団員よりも、タチが悪い。

サイケ、カズキ、タケオの3人は、この恐ろしい半グレ集団のアガリ(収益金)を盗み、安達を激怒させる。これは、しがない町のチンピラが巨大なヤクザ組織の資金を盗んだようなもので、非常に危険な状態。一体、どうやって3人組がこのピンチを切り抜けるのか、そこは劇場で見届けて欲しい。

個性的な主演の3人

本作は高杉真宙、加藤諒、渡辺大知のトリプル主演となっている。高杉真宙は“イケメン担当”のサイケ、加藤諒は“バカ担当”のカズキ、そして渡辺大知は“やさしさ担当”のタケオと、それぞれのキャラクターにぴったりの配役だ。

本年度、高杉真宙は5本の映画に出演し、そのうち3本で主演を務めているという超売れっ子。『デトロイト・メタル・シティ』(08)で松山ケンイチの弟役を好演した加藤諒も、個性的なビジュアルと確かな実力で、個性派俳優としての地位を確立しつつある。2016年に上演された舞台『パタリロ!』で、主人公のパタリロ・ド・マリネール8世を演じたことも大きな話題となった。そして、ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカルであり、2009年にみうらじゅんの自伝的青春小説を田口トモロヲ監督が映画化した『色即ぜねれいしょん』で俳優デビューを果たした渡辺大知も、すっかり俳優業が板についてきた。バンドの方は活動休止になってしまったが、俳優としての渡辺大知はどんどん活躍の幅を広げているので、今後も彼の出演作には注目していきたい。

ギャングースの公開前に見ておきたい映画

映画『ギャングース』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。『ギャングース』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

シティ・オブ・ゴッド

1960年代後半から80年代にかけての、ブラジル・リオデジャネイロにあるスラム街“ファベーラ(神の街)”。ここで生まれ育ったブスタペは、暴力が苦手な心優しい少年で、カメラマンになりたいという夢を持っていた。しかし、ブスカペの幼なじみたちは銃を手にして、麻薬の売買に手を染めていく。彼らは、底なし沼のような貧困から抜け出すためにギャングとなり、血なまぐさい抗争を繰り返すのだった。

ブラジルの名匠、フェルナンド・メイレレス監督が2002年に発表した壮絶な犯罪映画。衝撃的な内容と映像に圧倒されていると、最後に「事実に基づいた物語」というテロップが出てきて、さらに衝撃を受ける。日本も親の虐待や子供の貧困など、多くの問題を抱えていることは確かだが、リオのスラム街はレベルが違いすぎる。誰でも簡単に銃を入手できるので、子供が安心して遊べる場所など存在しない。今は改善されているのかもしれないが、この時代は地域全体がまさに無法地帯。一種の戦争状態にある。目を背けたくなるようなシーンも多いが、ストレートな“生”への執着が描かれた名作。

詳細 シティ・オブ・ゴッド

マイ・プライベート・アイダホ

幼い頃に親から捨てられたマイク(リヴァー・フェニックス)は、親友のスコット(キアヌ・リーブス)と共に、ポーランドのストリートで男娼をしながら生きている。マイクはスコットに密かな恋心を抱いていたが、家が裕福なスコットは、そろそろ退廃的な日々に見切りをつけ、まともな生活に戻ろうと考えていた。そんなある日、マイクはスコットに付き合ってもらい、生まれ故郷のアイダホまで母親に会いにいく。しかし、母親に会うことはできず、スコットまでマイクの元から去っていくことに…。

1991年公開のガス・ヴァン・サント監督作品。リヴァー・フェニックスの演じるマイクは、端正な容姿だけが武器の男娼で、先の見えないホームレス生活をしている。一方、キアヌ・リーブスの演じるスコットは、若者らしい好奇心や反抗心でマイクたちと仲良くしているが、裕福な家庭で育った坊々で、いつでも帰れる大きな家がある。男娼をしたり、ドラッグに手を出したりするのも、スコットにとってはあくまで青春時代の火遊びに過ぎない。マイクとスコットはとても仲のいい親友同士なのだが、物語が進むに連れて、2人はどんどん離れていく。マイクが心からスコットを求めているだけに、その過程が何とも痛々しい。23歳の若さで急逝したリヴァー・フェニックスの儚げな存在感が強く印象に残る、美しくも残酷な青春映画になっている。

詳細 マイ・プライベート・アイダホ

少年と自転車

施設に預けられた11歳のシリル(トマ・ドレ)は、父親(ジェレミー・レニエ)が迎えにくるのを待ち続けていた。しかし、父親は行き先も告げずに引っ越しており、シリルが大事にしていた自転車まで売り飛ばしていた。シリルはこの現実が受け入れられず、父と暮らしていた団地で騒動を起こす。その現場に出くわしたサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)は、シリルの自転車を見つけ出し、施設に届けてくれる。シリルは親切なサマンサに週末だけ里親になってもらい、父親の行方を探し始めるのだが…。

2011年に公開された作品で、ジャン=ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌ兄弟が監督・脚本・製作を務めている。第64回カンヌ国際映画祭では、審査員特別グランプリを受賞した。唯一の肉親である父親に育児放棄されてしまった少年の孤独と葛藤、そして再生への第一歩を描いた秀悦なヒューマンドラマ。シリルは父親から捨てられたという現実を受け入れることができず、サマンサのことまで傷つけてしまう。しかし、結局は自分の間違いに気づき、サマンサのところへ帰ってくる。その時のサマンサの対応には胸を打たれる。大人の都合で振り回され、深く傷ついた子供を救う手段は、やはり“無償の愛”しかないと痛感させられる。間違いを許し、黙って抱きしめてくれる大人が1人でもいたら、多くの子供は自ら反省して、再生していくのではないだろうか。

詳細 少年と自転車

ギャングースの評判・口コミ・レビュー

ギャングースのまとめ

本作は、若者たちの犯罪行為を肯定する作品ではないし、それを単に面白おかしく描いた犯罪娯楽映画でもない。あえて言うなら、親や社会から見捨てられた(普通の青春を過ごせなかった)若者たちにスポットを当て、その生き様をストーリー性のある実写映画にすることで「生きることは戦いだ!」と訴えている、今時珍しい激アツの青春映画なのかもしれない。お母さんが作ってくれたご飯を食べて、自室のベッドでぐっすり眠り、それでも「親がうるさい、毎日退屈だ」などと生ぬるいことを言っている若者こそ、本作を見るべきだ。「自分で生きるって大変だな…」と実感できるはず。

この記事をシェアする