ワシントンD.C.のカフェで17歳の黒人少年が射殺される。被害者の親友は、幼馴染みの彼女と共に事件の真相に迫ろうとして、この街の危険な闇に足を踏み入れてしまう。アンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツが共演した青春クライムサスペンス。
映画『クリミナル・タウン』の作品情報
- タイトル
- クリミナル・タウン
- 原題
- November Criminals
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2018年8月25日(土)
- 上映時間
- 86分
- ジャンル
- サスペンス
青春 - 監督
- サーシャ・ガヴァシ
- 脚本
- スティーブン・ナイト
サーシャ・ガヴァシ - 製作
- ベス・オニール
エリカ・オールド
アラ・ケシシアン
ビル・ジョンソン
ジム・セイベル
マーク・ビエンストック - 製作総指揮
- アンガス・サザーランド
- キャスト
- アンセル・エルゴート
クロエ・グレース・モレッツ
デビット・ストラザーン
キャサリン・キーナー - 製作国
- アメリカ
- 配給
- ギャガ・プラス
映画『クリミナル・タウン』の作品概要
カナダのヘヴィメタルバンド「アンヴィル」を追ったドキュメンタリー映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』(08)で監督・製作総指揮を務め、多くの映画賞を受賞したイギリス出身のサーシャ・ガヴァシが、ティーンエイジノワールの同名傑作小説を映画化した。殺された親友の名誉を守るため、独自で事件の真相に迫ろうとする主人公を演じるのは『ベイビー・ドライバー』(17)のアンセル・エルゴート。主人公の相棒役には『キック・アス』(10)のクロエ・グレース・モレッツがキャスティングされている。
映画『クリミナル・タウン』の予告動画
映画『クリミナル・タウン』の登場人物(キャスト)
- アディソン・シャクト(アンセル・エルゴート)
- ワシントン D.C.の高校に通う平凡な17歳。デヴィッド・ボウイが好きで、趣味は読書とビデオ日記をつけること。何者かによって射殺された親友デイブの名誉を守るため、独自で事件の調査を開始する。
- フィービー(クロエ・グレース・モレッツ)
- アディソンの幼馴染みで恋人未満の関係の同級生。高校卒業を間近に控え、信頼できるアディソンと結ばれることを望む。アディソンと共に、デイブ射殺事件の真相に迫っていく。
映画『クリミナル・タウン』のあらすじ(ネタバレなし)
ワシントンD.C.の高校に通う17歳のアディソンは、高校卒業を間近に控え、幼馴染みで恋人未満の関係のフィービーと結ばれる。2人が幸せな気分に浸っていた同じ時刻、カフェでバイトをしていたアディソンの親友のケビンが何者かによって射殺される。警察は、不良黒人少年が麻薬を巡るギャングの抗争に巻き込まれた事件と決めつけ、すぐに捜査を打ち切ってしまうが、アディソンは納得できなかった。アディソンが知るケビンは真面目な優等生で、麻薬やギャングとは縁のない生活を送っていたのだ。しかし、警察や学校は動いてくれないため、アディソンはフィービーと共に、独自で犯人捜しを始める。
親友の名誉を守りたい一心で動くアディソンに対して、なぜか学校や同級生がこれ以上深入りしないよう圧力をかけてくる。まるで街全体でこの事件を握り潰そうとしているような違和感の中、調査を続行していたアディソンとフィービーは、最も危険な真実が隠された場所へと足を踏み入れてしまう…。
映画『クリミナル・タウン』の感想・評価
実は危険なワシントンD.C.
皆さんはアメリカの首都ワシントンD.C.にどんなイメージをお持ちだろうか?ワシントンD.C.には、アメリカ大統領が暮らすホワイトハウスがあり、連邦議会議事堂や連邦最高裁判所がある。さらには、世界172カ国の大使館や世界銀行、国際通貨基金の本部など、大国アメリカや世界にとって重要な施設が集まっており、治安は良さそうなイメージがある。しかし、1990年代のワシントンD.C.は「殺人首都」と呼ばれるほど殺人事件が多発しており、現在でも決して安全とは言えない状況が続いている。地域差が激しいようだが、強盗や殺人、そして違法薬物に関する犯罪が多発しているので、17歳未満の青少年には夜間外出禁止令が出されているのだ。
本作の主人公アディソンは、ワシントンD.C.で暮らしている17歳の高校生。『クリミナル・タウン』というタイトルからもわかる通り、本作では「街」が物語の重要な鍵となる。ワシントンD.C.が危険な犯罪都市であることは、知識として頭に入れておきたい。
なぜケビン射殺事件の真相は解明されないのか
本作で気になるのは、主人公以外の街の人たちがケビン射殺事件の真相解明に消極的だということ。白昼堂々、バイト先のカフェで17歳の真面目な優等生が射殺されたら、普通に犯人捜しをするだろう。しかし、予告編を見る限りでは、アディソン以外の人はみんな事件に対して冷ややかだ。フィービーだけは味方してくれるようだが、学校や同級生でさえも「これ以上関わるな」とアディソンを脅してくる。これは一体どういうことなのか?
今わかっている情報の範囲内で推理してみると、その理由は3つほど考えられる。1つ目は、ケビン射殺事件の背後にはシャレにならないほど恐ろしい麻薬カルテルか闇の権力者のような強力な黒幕がいるので、みんな関わりを避けている。2つ目は、被害者のケビンが黒人少年だったので、人種差別的な理由で捜査が打ち切られた。3つ目は、アディソンが知らなかっただけで、本当にケビンが麻薬の売買やギャングと関わっている不良少年だった。3つ目の理由はあまりにお粗末だが、アディソンが世間知らずな高校生であることを考えると、ないとも言い切れない。本編公開前にいろいろと推理して、劇場で答えを知るのも1つの楽しみ方だ。
サーシャ・ガヴァシ監督と旬な2人の共演
数ある映画の中でも、サスペンス映画は1,2位を争う人気ジャンルだろう。そんなサスペンス映画の神様と言われているのが、かの有名なアルフレッド・ヒッチコック。本作で監督・脚本を務めるサーシャ・ガヴァシは、『サイコ』(60)製作時のヒッチコックを描いた伝記映画『ヒッチコック』(12)を監督しているので、サスペンス映画にはかなり精通しているはず。サスペンス映画は、物語の面白さもさることながら、どのように演出するかが非常に重要なジャンルなので、ガヴァシ監督の腕が試される。
さらに本作で注目したいのが、アンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツという売れっ子2人の共演だ。193センチの長身と端正なマスクで人気急上昇中のアンセル・エルゴートは、批評家から絶賛された大ヒット作『ベイビー・ドライバー』(17)で主人公のベイビーを演じ、世界中から注目された。彼の相手役を務めるクロエ・グレース・モレッツと言えば、『キック・アス』(10)のクールなヒット・ガールがやはり印象的だが、その後もすごいペースで多くの話題作に出演している。旬のアンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツの共演が見たくて、劇場に足を運ぶファンも多いことだろう。
映画『クリミナル・タウン』の公開前に見ておきたい映画
インサイド・マン
プロフェッショナルな4人組の強盗が営業中のマンハッタン信託銀行に押し入り、約50人を人質にして銀行内に立てこもる。犯人グループが巧みな工作で銀行から盗み出したのは329番の貸金庫に保管されていた物だけだったが、その貸金庫にはこの銀行の会長(クリストファー・プラマー)が死守したい秘密が隠されていた。ニューヨーク市警のキース刑事(デンゼル・ワシントン)は、ある方面からの圧力で、もみ消されそうになった事件の真相に迫っていく。
2006年公開のアメリカ映画で、監督は『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)や『マルコムX』(92)、『キング・オブ・コメディ』(00)などで知られるスパイク・リー。単なる犯罪映画では終わらない巧妙なクライムサスペンスになっており、娯楽映画としても楽しめる1本。劇中での様々なシーンに事件の真相に迫る伏線が散りばめられており、全てを見終わってからすぐにもう一度最初から見返したくなるような作品だ。『クリミナル・タウン』では主人公がデイブ射殺事件を解明しようとして、街全体の抱える危険な闇に気づいていくようだが、『インサイド・マン』でも銀行強盗をきっかけにキース刑事がある秘密に気づく。難解なサスペンスが好きな人はぜひ見て欲しい。
詳細 インサイド・マン
チャイナタウン
ある女性から夫の浮気調査を依頼された私立探偵のギテス(ジャック・ニコルソン)は、彼女の夫の水源電力局施設部長モーレイの調査を開始するが、ギテスの撮った写真が原因でモーレイが行方不明になってしまう。その直後、ギテスの前にモーレイの本物の妻だというイヴリン(フェイ・ダナウェイ)が現れ、モーレイは水死体で発見される。ギテスはイヴリンから正式に雇われ、事件の真相に迫ろうとするのだが…。
ロマン・ポランスキー監督が1974年に発表した有名な作品で、ロバート・タウンの巧みな脚本がアカデミー脚本賞を受賞した。不可解な事件の謎を解明していくミステリー要素の強いクライムサスペンスであり、物語は思わぬ方向へと展開していく。フェイ・ダナウェイがミステリアスなヒロインを好演しており、鑑賞後は何とも言えない余韻が残る。巨大な黒幕を演じたジョン・ヒューストンの悪役ぶりも圧巻で、名作として愛され続けている。
詳細 チャイナタウン
裏切りのサーカス
「サーカス」と呼ばれる英国諜報部でベテラン幹部だったスマイリー(ゲイリー・オールドマン)は、退職後に極秘で組織内のもぐら(二重スパイ)を暴く任務を任され、若手幹部候補のギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)を相棒にして調査を開始する。
2011年に公開されたサスペンス映画の大作で、興行的にも大成功を収めた。東西冷戦下のイギリス諜報部で裏切り者を探し出すという異色のサスペンスであり、ずっと静かな緊張感が漂う。ゲイリー・オールドマンの演じる主人公のスマイリーは、チーフの右腕だった凄腕の諜報員であり、ほとんど感情を表に出さない。それが何とも不気味で、観客の不安を煽る。ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、ジョン・ハース、ベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ストロングなど、イギリスを代表する豪華キャストが集結して見事な演技を披露しているので、複雑なストーリー展開もさることながら、キャストの演技を見ているだけでも胸がときめく。
詳細 裏切りのサーカス
映画『クリミナル・タウン』の評判・口コミ・レビュー
クリミナル・タウン
ミステリサンペンス➕ジュブナイルな感じで、主人公役のエルゴートさんがめっちゃ可愛かった。
お肌とぅるっとぅるで、周りから半笑いで見られている90年代オタクで、繊細さと切迫感と大胆さともがきと勢いがあって、好きにならずにはいられない。
ティーンにしか見えないの凄い— nasubi 나수비 (@serupi1106) 2018年8月25日
クリミナル・タウン(November Criminals)見た!アンセル君、めっちゃ良かった。ちょっと変わり者で、色々と事情もあって不安定で複雑な内面を持つ彼が無茶しないように頑張るクロエちゃん演じるフィービーも良かった。ベイビーの前のアンセル君でしたね。あと、何気に豪華な出演陣であったね。
— 高遠 哉 DNK ✈︎England is Mineはいいぞ♪✈︎ (@takatoukana) 2018年8月25日
【クリミナル・タウン】ティーン向けの青春サスペンスで、『BRICK』みたいなやつかと思ったら違った。エルゴートとモレッツの初々しいカップルぶりを楽しむ作品。 pic.twitter.com/jFKY3xtMNI
— 直撃デカオ拳 (@Dekao) 2018年8月25日
アンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツのクリミナル・タウンを見てきた。ティーン向けサスペンスなんだと思うが、10代の思考回路の観察が結構緻密であった。数日が待てない時間感覚、無意味な責任感、面倒に招かれる感じ、初めてのことが過ぎ去っていく喪失感。青春ですね。音楽も良かった pic.twitter.com/LO1VNyfTHZ
— sleeper_twtr (@sleeper_twtr) 2018年8月25日
『クリミナル・タウン』鑑賞終了。組織的陰謀を予感させる予告編からは意外なほどに事件の真相は浅く、“サスペンス”としては物足りなさが残る。アンセル・エルゴート&クロエ・グレース・モレッツの美男美女を鑑賞する作品と思えば。
— ふぁはん (@fahan2865) 2018年8月25日
映画『クリミナル・タウン』のまとめ
面白いサスペンス映画に出会うと、無性に人に勧めたくなる。しかし、迂闊に喋りすぎるとネタバレしてしまう危険があるので、あれこれ語りたい気持ちをぐっと抑え「本当に面白いのでとにかく1回見て下さい」とお願いしてみる。相手がその気になって見てくれて「すごく面白かった!」と言ってくれた時は、なぜか至福の喜びを感じる。そして、相手とその作品について思う存分語り合い、ようやく気持ちが落ち着くのだ。この『クリミナル・タウン』も、お願いしてでも誰かに見て欲しくなるようなサスペンス映画に仕上がっていることを期待したい。
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