日本の代表的な人気作家・東野圭吾の大ベストセラーが、堂々の映画化。脳死した娘を巡る夫婦の苦悩がリアルに描かれるヒューマンドラマ。主演を篠原涼子、夫役を西島秀俊が務め、『池袋ウエストゲートパーク』や『トリック』でもおなじみの監督・堤幸彦がメガホンを取る。
映画『人魚の眠る家』の作品情報
- タイトル
- 人魚の眠る家
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年11月16日(金)
- 上映時間
- 120分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
ミステリー - 監督
- 堤幸彦
- 脚本
- 篠崎絵里子
- 製作
- 大角正
石原隆
木下直哉
吉崎圭一
見城徹
瀧藤雅朝
田中祐介 - 製作総指揮
- 吉田繁暁
臼井裕詞 - キャスト
- 篠原涼子
西島秀俊
坂口健太郎
川栄李奈
山口紗弥加
田中哲司
斉木しげる
大倉孝二 - 製作国
- 日本
- 配給
- 松竹
映画『人魚の眠る家』の作品概要
2018年映画初主演を果たしたのは、小さな子供を育てながら女優として活躍する篠原涼子と、日本男性俳優陣でも人気の西島秀俊。2人が演じるのは、大ベストセラー作家・東野圭吾の同名ヒューマンドラマミステリー『人魚の眠る家』。別居中で離婚準備に入っていた2人は、娘がプールで溺れ意識を無くしてから、離婚以上の究極の選択を迫られるようになる。『明日の記憶』で日本アカデミー賞優秀作品賞受賞歴を持ち、独特なユーモアセンス溢れる監督として知られている堤幸彦がメガホンを取り、話題作を映像化する。
映画『人魚の眠る家』の予告動画
映画『人魚の眠る家』の登場人物(キャスト)
- 播磨薫子(篠原涼子)
- 和昌の妻、瑞穂と生人の母親。瑞穂の小学校お受験のために瑞穂と一緒に頑張っている。
- 播磨和昌(西島秀俊)
- 薫子の夫、瑞穂と生人の父親。現在薫子たちとは別居生活中。IT機器メーカーの社長。
- 播磨薫子(稲垣来泉)
- 薫子と和昌の長女。小学校受験のために、お受験をすることになっている。
- 星野祐也(坂口健太郎)
- 和昌の経営しているIT機器メーカーの社員。意識を失った瑞穂の治療のための相談を受けるが、次第に薫子の存在を気にし始める。
- 川嶋真緒(川栄李奈)
- 星野の恋人で、動物病院で助手をしている。星野とは結婚の約束をしているが、研究熱心な星野を心配する。
映画『人魚の眠る家』のあらすじ(ネタバレなし)
人は、生きているうちにいくつかの分岐点を迎える。播磨薫子は、幼い息子と娘を育てながら働く母親。夫でIT機器メーカーの社長をしている和昌とは、ずいぶん前から別居生活を送っている。
2人は、長女・瑞穂の小学校お受験が終えたら、離婚するつもりでいる。結婚前は、病めるときも健やかなるときも共に歩むことを誓った仲だが、それも今ではもう昔の話。離婚後、薫子は娘と息子と一緒に、新しい生活を始めるつもりでいた。
ある日、瑞穂は薫子の母親千鶴子と一緒にプールに赴く。ところが、そこで悲劇が起きてしまう。瑞穂がプールで溺れ、救急車で運ばれることに。更に、意識不明の重体と診断されてしまう。
圧倒的絶望が薫子を襲う。担当の脳外科医の進藤からは、とても辛く苦しい診断が下されることになる。夫婦である薫子と和昌は、かつてない程重要で、重い判断を迫られていた。
映画『人魚の眠る家』の感想・評価
東野圭吾のミステリーが、スクリーンで堂々の映像化
『容疑者Xの献身』や『白夜行』など、数々の話題作を世に送り出してきた日本を代表する大ベストセラー小説家・東野圭吾の30周年記念作品『人魚の眠る家』。
幼い小学生のプール溺水事故、僅か一桁しか生きられなかった子供の脳死。子供の命をどこで終わらすのか、誰が終わらせるのか、これは殺人とは違うのか。とてつもなく重苦しく衝撃的な内容に、日本中が注目する。発行から1ヶ月で27万部を突破したという大ベストセラー小説。
愛する子供のプールでの事故だけでも、子を持つ親からしたら重大事故であるのに、よりにもよって溺死してしまうとは、言葉もない。それも、自分の母親が連れて行ってくれた矢先の出来事。母を恨むことも、責めることもできず、やり場のない怒りや切なさや苦しみが襲う。
涙無くしては決して語れない話題の小説が、主演に篠原涼子を迎え、衝撃的な結末を巨大なスクリーンで迎える。
美しく眠る、眠り姫
医療は日々進歩しており、今回の事故の被害者となった薫子と和昌の娘・瑞穂も、その最先端の医療技術を一身に受ける。そしてその結果、意識を失い回復の見込みはないものの、延命治療に成功し、眠っているだけかのような美しい姿を取り戻す。
もう二度と目を覚ますことはなく、もう二度と話すこともなく、笑うことも泣くこともないが、ただ眠っているだけのように見える娘に、薫子は次第に狂気に取り付かれていく。
子供を思うが故なのか、自分が救われたいだけなのか。次第に、和昌の知っている薫子ではなくなっていく。
決して話すこともない娘を抱き、薫子は涙を浮かべる。私の決断を、娘は許してくれるだろうか、娘は受け入れてくれるだろうか。これは、私の身勝手さだろうか。答えの出ない問いかけに、苦悩する篠原涼子の表情が美しく胸を打つ。
どんな正解もない物語が迎える結末とは、一体どのようなものか。普段から言葉を交わすこともなくなった冷めた夫婦が下す決断に、眠り姫の運命が重くのしかかる。
映画のために書き下ろした、綾香の渾身の1曲
原作を読み、読み終わるころには曲が形になっていたと語るシンガーソングライターの綾香。言葉とメロディーが止まることなく、次々と溢れてきたと話す綾香は、特別に誇れる1曲だと作品に対しての出来栄えを自信気に語る。
主演を務める篠原涼子も、主題歌について作品に寄り添ってくれる、泣ける曲だとコメントする。曲の題名は「あいことば」、この言葉は、この家族だけに伝わる大切な思い。その言葉を口にするとき、絶対に伝わる言葉が「合言葉」なのだろうと、題名からも播磨家を思う綾香の気持ちが伝わってくる。
本編では涙をこらえることができず、最後のエンディングでまたこの曲を聞き泣いてしまうと、篠原涼子が語るように、この曲は強く胸にのしかかる。笑い合える、幸せな家庭でありたかった。過去を振り返り、娘と過ごしていた頃を思い出したとき、この曲が絶妙にマッチングする。
篠原涼子と西島秀俊だけでなく、2人を取り巻く大人たちの瑞穂ちゃんを思う気持ちの全てが、この曲と共に全力で観客にぶつかってきそうである。
映画『人魚の眠る家』の公開前に見ておきたい映画
ラプラスの魔女
ミステリー作家の代名詞とも言える、日本を代表する売れっ子作家・東野圭吾。その作品は毎年映画化されていると言っても過言ではない程の人気ぶりで、『ラプラスの魔女』は、2015年に東野圭吾30周年記念として描かれた作品。
これまでの自分の小説を壊したかったとコメントするだけあり、発売から1ヶ月で28万部の売り上げを記録する。
映画化にあたり、主演を人気アイドルグループ・嵐の櫻井翔が抜擢され、その他にヒロインを広瀬すず、脇を福士蒼汰と堂々の顔ぶれが並ぶ。更に、映画界を代表する大御所監督・三池崇史がメガホンを取る。
地球科学の研究者・青江修介役の櫻井翔と、未来を予知する魔女のような女の羽原円華役・広瀬すず、そして円華が追っている男に扮している謎の男、甘粕謙人役・福士蒼汰。妙な組み合わせの3人が出会うとき、物語は3人を不可解な事件へと誘う。
東野圭吾の渾身のサスペンスミステリーが、3人の名演技によって炸裂する。
詳細 ラプラスの魔女
アンフェア the movie / the answer / the end
2007年に劇場公開された『アンフェア the movie』から約10年。その間に、2011年と2015年に2部作と3部作が公開される。篠原涼子が主演を務める、シングルマザーの敏腕刑事。テレビドラマで大ヒットすると、3部作の映画化が決定する。
普段のほんわかした雰囲気からガラッと変わり、キリっとした表情の篠原涼子が印象的な映画である。ピストルを片手に、テロリストと闘う姿は、とてもシングルマザーとは思えない程勇敢で頼もしい。脇には椎名桔平や、江口洋介、阿部サダヲ、大杉漣などの名俳優たちが固める。
続いての2部作と3部作でも、1部からのキャストも出演するが、山田孝之や香川照之らが続々と出演し、警察内部から容疑を向けられたり、逆に警察内部の浄化に奔走したりと、スクリーン内で激しく駆け回る。
篠原涼子の代表作ともいえるこの作品は、ぜひ抑えておきたい作品である。
詳細 アンフェア the movie
詳細 アンフェア the answer
詳細 アンフェア the end
クリーピー 偽りの隣人
西島秀俊主演で送る、日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の同名小説『クリーピー』を実写映画化したサスペンススリラー映画。カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門監督賞を受賞した経歴を持つ黒沢清監督がメガホンを取る。
奇妙な隣人によって巻き起こる妙な事件、その深い闇に引きずり込まれる夫婦の恐怖が、原作にはないオリジナル展開として描かれる。
西島秀俊は、元刑事の犯罪心理学者・高橋の役を演じ、竹内結子演じる妻の康子は引っ越した先の隣人・西野に妙な違和感を覚える。不気味な隣人を香川照之が演じ、川口春奈や東出昌大など豪華キャストが揃う。
香川照之の演じる西野が不気味に笑う中、普段の西島秀俊の印象からは少し離れた濃い髭面の高橋は、妻の康子との家庭を守り、そして巻き込まれただけの、全く関係のない少女を救うことができるのか、心理学者の心眼が光る。
詳細 クリーピー 偽りの隣人
映画『人魚の眠る家』の評判・口コミ・レビュー
堤監督作品苦手なんだけどなぁ…。
「人魚の眠る家」今年の邦画大作で3本の指に入る出来だった。無論450ページ近い原作の映画化なので、物語的には「引き算」の脚本なんですが、撮影、編集、演出面できちんと視覚的な「上積み」があるので、映画化した意義も感じられました。必見です! pic.twitter.com/J3g294QXei— ナガ@映画垢🐇 (@club_typhoon) 2018年11月16日
『人魚の眠る家』★3.2
脳死をテーマとした映画普段は触れられないような気まずさと不気味さを描いていました
科学技術によって心臓が動いているのは、果たして生きていると言うのでしょうか?
そんな感じの映画です個人的に観て損は無かったです#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/ZMHCjOstuK
— You!? (@iamYuuKurita) 2018年11月16日
人魚の眠る家
技術の発展は希望に満ちてるが時には複雑にも思える。
意識が戻らないが特殊な技術で生かされ息をし続けてるのであればそれは大切な1つの命。
親が子を想い願う気持ちに感動。
キャスト全員の演技が良かった。
篠原涼子には今年の主演女優賞をあげたい!お見事! pic.twitter.com/OIdn2iAbM0— ディーン・フクヤマ (@masuyou1005) 2018年11月16日
”人魚が眠る家”TC岡南。脳死と、心臓死、日本の法律の二つの死に翻弄される家族の物語は、時の経過と共に変わる周りの人達の思いの中で、変わらない母の思いに涙する。幼い我が子の脳死を受け入たうえに、臓器移植まで決断する困難を思いながら、田中啓司の台詞に希望を感じ、絢香の歌に再び涙が。 pic.twitter.com/myus0t6avI
— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) 2018年11月16日
【 人魚の眠る家】を
昨日観てきた。生、死、命、愛、絆、全てが含まれた映画だった。
どれも儚くて脆い存在。何を持って死とするのか…
何を持って生とするのか…
みんななら❓僕はほんと良い映画と感じました。
機会があれば観て下さい👍
あ、ハンカチ忘れないでね(笑) pic.twitter.com/Lsas6bNQbM— ライト@ (@Gosuzuki1) 2018年11月17日
映画『人魚の眠る家』のまとめ
2018年に篠原涼子は『SUNNY 強い気持ち・強い愛』や、西島秀俊は『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』などのコメディ・ヒューマンドラマにも出演し、その活躍の幅を広げている。2人の俳優としての演技力は、シリアスな映画も面白くて楽しくて感動する映画も、どちらも見応え抜群であることは今更言うまでもない。2018年は、2人の活躍が目白押しである。原作者である東野圭吾も、涙を堪えるのに必死だったとコメントするほどの感動作に、早くお目にかかりたい。
みんなの感想・レビュー