ジェームズ・R・ハンセン著の宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いた「ファーストマン」を原作にしたドラマ。『ラ・ラ・ランド』の監督デイミアン・チャゼルと主演のライアン・ゴズリングが再びタッグを組み、人類初の月面着陸に挑戦する。
映画『ファースト・マン』の作品情報
- タイトル
- ファースト・マン
- 原題
- First Man
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年2月8日(金)
- 上映時間
- 141分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- デイミアン・チャゼル
- 脚本
- ジョシュ・シンガー
- 製作
- ウィク・ゴッドフリー
マーティ・ボーウェン
アイザック・クラウスナー
デイミアン・チャゼル - 製作総指揮
- スティーブン・スピルバーグ
アダム・メリムズ
ジョシュ・シンガー - キャスト
- ライアン・ゴズリング
クレア・フォイ
ジェイソン・クラーク
カイル・チャンドラー
コリー・ストール
キアラン・ハインズ
パトリック・フュジット
ルーカス・ハース - 製作国
- アメリカ
- 配給
- 東宝東和
映画『ファースト・マン』の作品概要
アカデミー賞常連監督の1人で、高い評価と人気を誇るデイミアン・チャゼル監督が待望の新作に挑戦する。21世紀に突入し、急激なテクノロジーの時代を迎えた地球人が、未だ簡単にこなすことのできない任務が、宇宙への進出である。人類史において初めてとなる、最も危険なミッション月面着陸へ、『ラ・ラ・ランド』で6部門に輝いたデイミアン・チャゼルが、『ラ・ラ・ランド』主演のライアン・ゴズリングと再びタッグを組み、満を持して登場する。
映画『ファースト・マン』の予告動画
映画『ファースト・マン』の登場人物(キャスト)
- ニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)
- 宇宙船アポロ11号の船長。人類史上初めて月面を歩いた人物として有名な宇宙飛行士。
- ジャネット・アームストロング(クレア・フォイ)
- アームストロングの最初の妻。
- エド・ホワイト(ジェイソン・クラーク)
- アメリカ人で初めて宇宙遊泳をしたことで知られている有名な宇宙飛行士。
映画『ファースト・マン』のあらすじ(ネタバレなし)
1961年から1969年に、アメリカ航空宇宙局通商NASAは、地球の軌道上を回っている衛星の月へ着陸するための計画に着手する。しかし1961年当時、空軍パイロットのニール・アームストロングは愛する幼い娘のカレンが、重い病のために闘病生活を送っていたため、仕事に身が入らずにいた。
娘は妻ジャネットの看病もむなしく、幼くして命を亡くしてしまった。ニールはその悲しみを振り払うため、NASAの月面計画の宇宙飛行士に応募した。
翌年、NASAの宇宙飛行士に選ばれたニールは訓練を始める。宇宙計画でソ連に先を行かれていたアメリカは、その名誉と誇りを守るためにソ連もまだ到達していない“月”への着陸を発表した。
やがて月への航行に耐えうるために、母船と小型船を開発し、同時にジェミニ計画とアポロ計画が始動するのだった。
映画『ファースト・マン』の感想・評価
実力派俳優たちの集う最高傑作
『ラ・ラ・ランド』の監督・デイミアン・チャゼルを始め、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮に名を連ね、主演には『ラ・ラ・ランド』で華麗な歌とダンスを観客に披露し、アカデミー賞にもノミネートされた俳優・ライアン・ゴズリング。
宇宙旅行は人類の夢でもあり、20世紀の最大の偉業ともいわれている月面着陸は、21世紀となった現代でも偉業であり続けている。もともと映画の構想は『ラ・ラ・ランド』よりも先に始まっていたと言われている。
大いなる期待と興奮を携えた映画に集うスタッフは、『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』の脚本担当ジョシュ・シンガー。製作総指揮にスティーブン・スピルバーグと共に名を連ねたのは、『大統領の執事の涙』の製作総指揮でもあったアダム・メリムズ。撮影監督には、『ラ・ラ・ランド』でも撮影を担当していたリヌス・サンドグレン。
ニール・アームストロングの妻であるジャネット・アームストロングには、『蜘蛛の巣を払う女』でも活躍しているクレア・フォイ。『イット・カムズ・アット・ナイト』に出演しているクリストファー・アボット。
ライアン・ゴズリングと言う男
2001年の『The Believer(原題)』で高い演技評価を得た、ライアン・ゴズリング。その映画でゴズリングは、インディペンデント・スピリット賞とロンドン映画批評家協会賞で主演男優賞にノミネートされた。
ゴズリングは、1993年からディズニー・チャンネルの人気番組『ミッキー・マウス・クラブ』にジャスティン・ビーバーらと出演し、1996年に映画デビューを果たしている。その後も、数々の難しい役や複雑な役どころをこなし、2006年に『ハーフネルソン』で初めてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。
これまで、ゴールデン・グローブ賞などの多くの賞を受賞し、2016年の『ラ・ラ・ランド』でゴズリングはアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。ゴールデン・グローブ賞では主演男優賞を受賞しており、更に20以上の賞にノミネートされた記録を持ち、ゴズリングの代表作となった。
数々の名言を残した、人類史に名を刻んだ宇宙飛行士の役では、任務にはひたむきに、仲間とはユーモラスに、愛する娘には無上の愛を注いでいる。ニール・アームストロングの微妙な仕草や表情の一つ一つを繊細に、丁寧に演じ上げたゴズリングの演技力は見ものである。
技術革新の時代での挑戦
20世紀も半分が過ぎた1960年代、その頃にはまだテクノロジーという言葉が出始めたばかりで、現代では当たり前になっている携帯電話すらない時代。“点火されたブリキ缶のようなもの”と揶揄されていた宇宙船に乗って、地球から遥か離れた約40万キロ弱先にある月への距離を航行する。
前人未到の地へ向かうために過酷な訓練をし、その訓練を乗り越え選ばれた宇宙飛行士たちが、宇宙へと飛び立っていく。世界中の誰もが“その瞬間”がくるのを見守っていた、あのニール・アームストロングの有名な一歩の場面から、誰も知らない秘話などが、ニール・アームストロングの視点でリアルに描かれる。
60年代の懐かしき時代の宇宙センターの様子や、宇宙船、コックピットに至るまでも忠実に再現され、誰しもが知るニール・アームストロングの名言が登場する月面の再現も念入りに作り上げられている。
21世紀の情報社会に向けて、日々技術が向上している時代に、宇宙を夢見ていた人々の活躍によって人は地球の外へ飛び出す。「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」との名言が生まれる瞬間や、あの感動を、再び目の当たりにできるのは奇跡に等しい。
映画『ファースト・マン』の公開前に見ておきたい映画
ラ・ラ・ランド
2016年に公開された映画で、今世紀最高傑作とも言われる名作中の名作。今作『ファースト・マン』の監督デイミアン・チャゼルと、主演ライアン・ゴズリングが初めてタッグを組んだ作品であり、制作陣も撮影監督や編集・衣装・音楽に至るまでスタッフが勢揃いした。
惜しくもアカデミー賞作品賞を逃してしまうも、14ノミネートを果たし、他の2016年公開作品を圧倒する6部門受賞を成し遂げた。主演のライアン・ゴズリングとW主演のエマ・ストーンが主演女優賞を受賞し、撮影・美術・歌曲・作曲などミュージカル映画の名に相応しい賞が並ぶ。
夢を追いかけたことのある人なら誰もが共感する映画で、苦しみや絶望などはもちろん、大人の恋を楽しんだあの頃の懐かしさや高揚感を覚えずにはいられないミュージカル。夢を追って走り続ける人たちが集うロサンゼルスで繰り広げられる、飛び切りロマンチックで切なく、モダンでクラシックなまるで泡沫の夢のような作品なのである。
詳細 ラ・ラ・ランド
スポットライト 世紀のスクープ
第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した、『ファースト・マン』で脚本を担当したジョシュ・シンガー脚本作品。2001年のアメリカマサチューセッツ州ボストンで起きた、神父による子供への性的虐待の実態を追った記者の奮闘ドラマ映画。
1人の神父を追う記者たちは、マサチューセッツ州のカトリック教会で起きている性的虐待事件の隠蔽に気付く。そして、対象神父は1人からやがて90人を超える規模に。だが、その後事件は佳境を迎えたところで、21世紀最初の世界最悪なテロ事件9・11が勃発する。
テロが収まった1年後、ようやく事件の証拠を掴み、裁判に勝訴すると記事を公開しカトリック教会がこれまでしてきた事実を公にする。
映画は広く評価を得、カトリック教会そのものからも映画について称賛を得ていた。キャストはそこまで名の知られた人たちではないが、脚本を担当したジョシュ・シンガーにとっては、代表作となった作品である。
宇宙兄弟
漫画週刊誌「モーニング」に掲載され、2018年現在2,000万部の発行数を記録した山田宙哉作の同名コミックを、小栗旬と岡田将生のW主演で実写映画化した作品がある。それが『宇宙兄弟』である。
時代背景は現在よりも更に先の話で、幼いころに交わした宇宙を目指す約束を果たすために、兄弟は宇宙飛行士を目指す。主人公南波六太を小栗旬が演じ、六太の弟日々人を岡田将生が演じる。2人のキャラクターが、とてもはまり役だったことでも話題となった。
このコミックには、多くの実在する宇宙飛行士が登場し、更に日本やアメリカにあるJAXAやNASAなどの宇宙関係施設も紹介され、映画も実際の施設で撮影されたとのこと。
人類で初めて月面を歩き、宇宙に詳しくない人でも知っているほどの知名度を誇る名言を残したニール・アームストロングに続き、日本人で初めてのムーンウォーカーになった宇宙飛行士の日々人の名言は、この映画の見ものである。
詳細 宇宙兄弟
映画『ファースト・マン』の評判・口コミ・レビュー
『ファースト・マン』
全人類の大いなる一歩の裏には、多くの犠牲あり。月へ行った亡き娘へ想いを馳せ、家族の想いを一矢に背負い、“死”と隣り合わせの閉塞感の中で成した偉業は、ある意味“狂人”の為せる業。轟音と無音の対比、ライアン・ゴズリングの感情を抑えた名演が、静かな、重厚な感動を呼ぶ。 pic.twitter.com/2Mc80nO9Vg— じょび (@moviejovi0116) 2019年2月9日
『ファースト・マン』
冒頭のシーンは圧巻で、粒子の粗い映像、慌ただしいカメラの動きとカット割りで画面に殆ど何も映らない。追い込み描写は『セッション』以上だがアームストロングは感情の起伏を見せない。それでも彼の魂は確実に蝕まれている。それを体現したライアン・ゴスリングはやっぱ凄い。 pic.twitter.com/nYyeC5Ei2r— メトロポリタン (@redsoil3) 2019年2月9日
「ファースト・マン」はクライマックスまで見せすぎない抑制が上手く効いたライド型ムービー。インターステラーやゼログラビティと明らかに違い、ダンケルクとかに肌触りが近い。主人公ニールの視点に寄り添い、決定的な見せ場は基本おあずけに、音響で臨場感を煽る手法は直近ヘレディタリーにも近い。 pic.twitter.com/wryOE73X9n
— eigaobake (@0_bake) 2019年2月10日
#ファーストマン
画像の揺れに若干酔いながら…
月面着陸に思いを馳せたよ〜🌝
人類の月への第一歩はいろんな犠牲の上に成り立っていたんやね…😔💦
家族の愛と仲間達の夢を乗せて月面に降り立つシーンは感動的〜👏😊
無音状態に心臓がバクバクしたわ…
月への旅行は…今や金持ちの娯楽やなんて…😅💦 pic.twitter.com/XlXPX4HxXT— Leona⛄️映画垢 (@1ose9Leona) 2019年2月8日
『ファースト・マン』
物語云々より、まずライアン・ゴズリングの演技に圧倒され心酔した。
時に月の裏側のように無表情で冷たい瞳をしながらも、時に太陽が帯びるフレアのように生命力に満ちた眼差しを持つ。この相反する繊細な感情をライアンは機微な目線や仕草で僕たちに伝える。ほんといい役者! pic.twitter.com/Bnhk7twJBG— suzu (@nezimaki49081) 2019年2月10日
映画『ファースト・マン』のまとめ
多くの人たちの夢と希望を乗せ、飛び立った宇宙船。それに乗った勇敢な宇宙飛行士たちの中には、悲惨な事故に遭って二度と地球の地面を踏むことなく亡くなってしまった人たちもいる。事故を起こせば、マスコミや民衆などから批判を受けやすい計画でもありながら、それでも宇宙飛行士たちの意思を継いで、宇宙船は飛ぶ。限られた人たちしか行くことのできない未知の世界への好奇心を、誰しも止めることはできないのだろう。だからこそ、感動もひとしおなのである。
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