大統領首席補佐官と国務長官を歴任したディック・チェイニーは、ジョージ・W・ブッシュ大統領に指名され副大統領の座に就くことになった。野心家のチェイニーは、副大統領の立場を利用して政治を意のままに操った。
映画『バイス』の作品情報
- タイトル
- バイス
- 原題
- Vice
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年4月5日(金)
- 上映時間
- 132分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- アダム・マッケイ
- 脚本
- アダム・マッケイ
- 製作
- ブラッド・ピット
デデ・ガードナー
ジェレミー・クレイマー
ウィル・フェレル
アダム・マッケイ
ケビン・メシック - 製作総指揮
- ミーガン・エリソン
チェルシー・バーナード
ジリアン・ロングネッカー
ロビン・ホーリー
ジェフ・ワックスマン - キャスト
- クリスチャン・ベール
エイミー・アダムス
スティーブ・カレル
サム・ロックウェル
タイラー・ペリー
アリソン・ピル
リリー・レーブ
リサ・ゲイ・ハミルトン - 製作国
- アメリカ
- 配給
- ロングライド
映画『バイス』の作品概要
ジョージ・W・ブッシュ大統領の政権時に副大統領に就任したディック・チェイニーにスポットを当てた作品。本作は実話を元に制作されており、ディック・チェイニーが大統領の影に隠れながら政治を意のままに操った様子が描かれている。ディック・チェイニーを演じたクリスチャン・ベールは本人に似せるために20キロの増量を行っており、「第76回 ゴールデングローブ賞・主演男優賞・コメディ/ミュージカル部門」を受賞した。
映画『バイス』の予告動画
映画『バイス』の登場人物(キャスト)
- ディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)
- 大統領首席補佐官と国務長官を歴任し、石油企業「ハリバートン」のCEOを務める。ジョージに指名され、アメリカ副大統領の座に就く。野心的な人物。
- リン・チェイニー(エイミー・アダムス)
- ディック・チェイニーの妻。若かりし頃、ディックが政治の道に進むよう後押しした。
- ドナルド・ラムズフェルド(スティーブ・カレル)
- 下院議員。ディック・チェイニーに政治のイロハを教えた。ディックの師匠とも言える人物。型破りな性格。
- ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)
- アメリカ大統領。ディック・チェイニーを副大統領に指名する。チェイニーのことを信用している。
映画『バイス』のあらすじ(ネタバレなし)
アメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュは、副大統領にディック・チェイニーを指名することにした。しかし、大きい会社の社長であり大統領首席補佐官と国務長官を歴任したチェイニーは、形だけの副大統領の仕事に不満を持っていた。そこで、自分が望むように副大統領の仕事を行うことにした。内政問題・軍事問題・エネルギー問題・外交問題、全てを自分に任せて欲しいとジョージに頼んだ。ジョージは反対することなく、喜んで承諾した。
ジョージの妻は大統領の力を盗られるのではないかと心配していた。そんな中、チェイニーはジョージの指示を仰ぐことなく、様々な事柄を自分の勝手な判断で決めていった。チェイニーは副大統領として大統領の影に隠れたまま、アメリカの政治を操った。
映画『バイス』の感想・評価
アメリカ副大統領
アメリカ副大統領は政府を代表する2番目の官職で、大統領が死亡・辞任などで欠けたときに大統領に昇格することになる。また、大統領が病気や怪我などで職務が遂行できなくなった場合に、臨時に大統領権限が与えられ職務を代行することになる。
大統領に何かあれば頼りにされる役職ではあるが、普段は大統領の影に隠れあまり目立たないポジションである。初代副大統領のジョン・アダムズが、「人類の作った最も不要な職」と述べたほどアメリカ国民や政治家から関心が持たれていない。
ディック・チェイニーはそんな目立たない副大統領の地位にいながら、どのように政治を意のままに操ったのか、大統領であるジョージとの関係はどのようなものだったのか注目しながら見て欲しい。
ディック・チェイニー
チェイニーが政治を志すきっかけになったのは、高校時代からの恋人で後に妻となるリンの存在だった。チェイニーは下院議員ドナルド・ラムズフェルドの下で政治家のイロハを学び、野心的な考えを持つようになる。史上最年少の若さで大統領首席補佐官に就任し、女性・飲酒問題が浮上したジョン・タワー元上院議員の代わりに国防長官に就任した。そして、石油企業「ハリバートン」のCEO&大株主となった。
チェイニーは華麗な経歴の持ち主であるが、在任中は「史上最強の副大統領」として国民から大きく批判された。そのことに一番影響を及ぼしているのは、イラク戦争を先導したとされていることである。イラク戦争を行ったのはイラクの石油利権を狙ったからだと言われており、今なお批判の声は止まない。本作はそんなチェイニーを描いた社会派ブラック・エンターテインメント作品となっている。
第91回 アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞作品
ディック・チェイニーを演じたクリスチャン・ベールは、本人に似せるために体重を20キロ増量させ約5時間もかけて特殊メイクを施し撮影に挑んでいる。本当のチェイニーの顔を知らない人も多いかも知れないが、彼を知っている人ならば瓜二つと言いたくなるほどそっくりである。
本作は「第91回 アカデミー賞」に8部門ノミネートされており、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している。チェイニー以外のどの役も本人にとても似ており、受賞したことも納得の出来栄えとなっている。
製作の1人として俳優のブラッド・ピットが携わっている。そして、ブラッド・ピットも出演した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15)で、「第88回アカデミー賞・脚色賞」を受賞したアダム・マッケイが本作の監督・脚本・制作を務めている。
映画『バイス』の公開前に見ておきたい映画
マネー・ショート 華麗なる大逆転
アダム・マッケイが監督・脚本を務めた作品。また、クリスチャン・ベールやスティーブ・カレルなど、本作に出演している俳優やスタッフもこの作品に携わっている人が多い。「第41回ロサンゼルス映画批評家協会賞・編集賞」や「第28回USCスクリプター賞・映画部門」など、様々な部門で賞を受賞している。
2005年、住宅ローン市場は安定し、多くの投資家が金融商品を購入していた。そんな中、住宅ローン市場がもうすぐ崩壊すると予測した男がいた。その男は靴も履かずスーツも着ていないような男だったが、トレーダーとしては鬼才を放っていた。また彼以外にも、3人のトレーダーが世界経済の破たんを予測していた。彼らは銀行の裏をかき、富を得ようと画策した。
バットマン ビギンズ
クリスチャン・ベールの代表作で、主人公のブルース・ウェイン/バットマンを演じた。本作は「ダークナイト トリロジー」の1作目で、2008年に続編の『ダークナイト』と2012年に最終章の『ダークナイト ライジング』がそれぞれ公開されている。クリストファー・ノーランが監督・脚本を担当し、モーガン・フリーマンやゲイリー・オールドマンなど有名俳優達が脇を固めている。
強盗犯のジョー・チルに襲われ、ブルース・ウェインの両親が殺されてしまう。心に傷を負ったブルースは、執事に育てられた。14年後、ブルースはジョー・チルに纏わるある事件を契機に、街に汚職と腐敗が蔓延していることを知る。汚職や不正と戦うため、世界へと旅に出かけた。そこで、ラーズ・アル・グールが率いる影の同盟の存在を知る。
詳細 バットマン ビギンズ
魔法にかけられて
エイミー・アダムスの代表作。彼女はヒロインのジゼルを演じており、この作品を通じて一躍有名になった。『白雪姫』や『シンデレラ』など、過去に公開された様々な作品のシーンやセリフがセルフパロディとして使われている。2Dアニメーションと実写で物語が構成されており、この作品ならではの手法は高い評価を受けた。
心優しいプリンセスのジゼルは悪い魔女に騙され、世にも恐ろしい世界に追放されてしまう。そこは、現代のニューヨークだった。ジゼルは初めて見る街並みに戸惑い助けを求めるが、彼女の声を聞いてくれる人は誰もいなかった。そんな時、ある1組の父娘に出会う。一方、プリンスのエドワード王子はジゼルを救うため、自らニューヨークの街に足を踏み入れた。
詳細 魔法にかけられて
映画『バイス』の評判・口コミ・レビュー
#バイス
最後に自身で揶揄しているけど、妻のリンが言うように”権力を握った者は常に攻撃される”を地で行く映画。
ブッシュは当時から世界中で阿呆呼ばわりされ批判されていたが、止める事は出来なかった。映画はコメディタッチだけど笑うに笑えない話だ。
語り部のオチが最高に効いている。 pic.twitter.com/QPX2AaFGt9— センタ (@UdonsukiMimiu) 2019年4月8日
#バイス
アメリカ史上最強で最凶な副大統領ディック・チェイニーの実話
情報量の多さと政治の話に頭が混乱しそうだったけどナレーションに助けられた笑
9.11テロやイラク戦争など衝撃的な映像とその裏には政府の間違った行いがあったことに驚き
サム・ロックウェルのボンクラ感あるブッシュも似てた pic.twitter.com/FSBbvk6Hof— ぐさり (@ajems_s) 2019年4月7日
『バイス』
皮肉を重ねながらも立場を表明しない自由過ぎる告発は〝極悪〟を凌駕する軽快&爽快さw面白い!尊重し守るべきものが明確なタカ派チェイニーが取り憑かれた権力。ここぞと大統領を転がすも妻への愛と野心に転がされた持たざる副大統領の人心掌握術。そんな稀代の凶運に持病までも力を貸すw pic.twitter.com/fyNdDhplid— コーディー (@_co_dy) 2019年4月5日
#バイス 鑑了。
やや難解ながら米政治のタブーと現在を垣間見れる衝撃作。
“副”大統領が主軸の前代未聞の設定だが、イラク侵攻の扇動など“影の大統領”の覇権に終始驚嘆。
ユーモアや深刻さと滑稽さの入り混じる演技。20キロの体重増量で半世紀に及ぶバイスの軌跡を体現。見事に人物像をあぶり出した。 pic.twitter.com/JCOPFNmqZI— Taishi♪ (@Myway3d) 2019年4月7日
#バイス ブッシュ息子役のサムロックウェルがそっくり過ぎて笑ったw ただ実録映画あるある演出までもネタにするような切れ味鋭いブラックコメディを装いつつ、本質はどす黒い政治手法によって不穏な世界を作り上げた舞台裏を明かしていた。どこかの美しい国にもリンクしているような。ED含め必見作品! pic.twitter.com/fHIIYd1UQz
— チェキロ (@check_row) 2019年4月6日
映画『バイス』のまとめ
アメリカ元大統領のジョージ・W・ブッシュのことを知っている人は多くても、副大統領であるディック・チェイニーのことは知らず興味がないという人も多いのではないだろうか。しかし、アメリカをイラク戦争へと導いたとされる人物だと聞くと、彼に対して少し興味が沸いてくるのではないかと思う。チェイニーはどのような人物で政治家としてどのような活動を送ってきたのか、真実の物語が描かれている。役者達の演技が素晴らしいだけでなく本人に似せたメイクや衣装も素晴らしいと思うので、ぜひそこにも注目してもらいたい。
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