サンダンス映画祭で、「直近50年のホラー映画の中の最高傑作」「21世紀最高のホラー映画」と謳われるアメリカのホラー映画が、ついに日本解禁。『シックス・センス』出演のトニ・コレットが主演を務め、完璧な悪夢の中に身を投じる。
映画『ヘレディタリー 継承』の作品情報
- タイトル
- ヘレディタリー 継承
- 原題
- Hereditary
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年11月30日(金)
- 上映時間
- 127分
- ジャンル
- ホラー
- 監督
- アリ・アスター
- 脚本
- アリ・アスター
- 製作
- ケビン・フレイクス
ラース・クヌードセン
バディ・パトリック - 製作総指揮
- ライアン・クレストン
ジョナサン・ガードナー
トニ・コレット
ガブリエル・バーン - キャスト
- トニ・コレット
アレックス・ウルフ
ミリー・シャピロ
アン・ダウド
ガブリエル・バーン - 製作国
- アメリカ
- 配給
- ファントム・フィルム
映画『ヘレディタリー 継承』の作品概要
今作で長編か得デビューを果たす、アリ・アスターが関東・脚本を手掛けた、珠玉の一作。サンダンス映画祭で絶賛を浴び、21世紀の最高ホラー映画と言われる。呪われた一族グラハム家のアニーは、恐ろしい運命から家族を守るために奔走する。『シックス・センス』に出演したトニ・コレットが主人公アニーを演じ、2018年に『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』や『ライ麦畑で出会ったら』など多数映画に出演し注目を浴びる俳優・アレックス・ウルフが息子役を演じる。
映画『ヘレディタリー 継承』の予告動画
映画『ヘレディタリー 継承』の登場人物(キャスト)
- アニー・グラハム(トニ・コレット)
- 息子のピーターと、娘のチャーリーを持つ母。元々精神的な疾患のある家計に生まれ、夢遊病を患っている。
- ピーター・グラハム(アレックス・ウルフ)
- アニーの息子で、ハイスクールに通う。友人の家のパーティーに妹のチャーリーを連れて行くが、事故により誤って死なせてしまう。
- チャーリー・グラハム(ミリー・シャピロ)
- アニーの娘の13歳の少女。ナッツアレルギーを持ち、パーティーでナッツ入りのケーキを食べアレルギー反応を起こす。
- スティーブ・グラハム(ガブリエル・バーン)
- アニーの夫で、ピーターとチャーリーの父親。カルト宗教に嵌る妻を持て余す。
- ジョーン(アン・ダウド)
- アニーが受けているカウンセリングに参加していた女性。自宅で交霊会を行っている。
映画『ヘレディタリー 継承』のあらすじ(ネタバレなし)
アニーは、ミニチュア模型のアーティストとして働く傍ら、13歳の娘チャーリーと、高校生の息子ピーター、愛する夫と幸せな生活を送る。だが、アニーは精神疾患の家系に生まれ、先天性遺伝により夢遊病に悩まされていた。
自分の病気が、いずれ息子や娘たちにも遺伝するだろうと恐れていた矢先、グラハム家の家長であったアニーの母親エレンの訃報を知る。過去に諍いがあり、母親に対してあまり良い感情を持っていなかったアニーは、早々と葬儀を済ませる。
だが、エレンが亡くなったことで、グラハム家に次々と悲劇が巻き起こる。ピーターは友人宅のパーティーに、妹のチャーリーを連れて参加するが、チャーリーがナッツ入りのケーキを食べてしまい、アレルギー反応を起こす。
ピーターが慌てて病院に向かう途中、窓の外に顔を出し空気を吸おうとしたチャーリーの頭部を電柱にぶつけ、チャーリーを誤って殺してしまう。チャーリーの悲惨な死体を目の当たりにしたアニーは、ピーターと険悪な関係になり、一家は崩壊の危機に陥る。
そんなとき、アニーが受けていたカウンセリングでジョーンと名乗る女性と出会ったことで、アニーの運命は大きく変わっていく。ジョーンは、自宅で仲間たちと交霊会を行っている妄信的なカルト宗教の信者だった。
映画『ヘレディタリー 継承』の感想・評価
かなり重病な精神疾患を抱える主人公一家
母親のエレンの解離性同一性障害を始め、アニー自身も夢遊病に悩まされ、父親の精神分裂病、兄の極度の被害妄想など、グラハム家は何かと思い精神疾患を抱えている。ここまで一家揃って重度の精神病を患っている家族も珍しいが、先天性遺伝によりグラハム家は昔から重い病気を抱えた家族である。
家長エレンの娘アニーは、自分たちの子供にその病気が遺伝してしまわないか、常に恐怖を抱えている。グループ・カウンセリングを受けることで、胸の内に潜んでいる不安をアニーは少しずつ吐き出している。
だが、家族にそれだけ揃って精神疾患を抱えておきながら、アニーもスティーブもよく結婚し、更に子供を2人も作ったものだと感心せざるを得ない。その大切なアニーたちの娘が、悲惨な事故で命を落としたことによって、家族は狂い始め、アニーの闇も顔を出し始める。
そして更に、アニーの心境を見透かしたかのように、カルト宗教の妄信者ジョーンによって表に引きずり出されていく。物語は衝撃的な結末を迎えるが、ホラー映画でもここまで凄惨な仕上がりになっている作品も珍しいのではないだろうか。
次々と起こる恐怖の出来事
亡くなった祖母が遺した、“あるもの”を受け継いだアニー。アニーは、祖母がグラハム家の家長だっただけでなく、ある団体の長だった事実を知る。そして、それを受け継いだことで、アニーらグラハム家は次々と恐怖にその身を蝕まれ始める。
アニーの目に、祖母の影や事故死したチャーリーの姿が浮かんでは消える。そして、その姿がアニーやピーターたちを苦しめ、家族を破滅へと誘う。予告動画を見ただけで、ドキッとし、背筋が伸びる思いがする。
アニーの住む家に潜む悪夢は、振り返れるとそこにいる。暗がりでジッとこっちを見て、不気味に微笑みかけている。アニーとピーターの関係も、アニーとスティーブの関係も歯車はかみ合わない。
自分が見ているものが真実なのか分からず、自分が何を信じているのかも徐々に思考が追いつかなくなっていく。アニーの精神は蝕まれ、やがて完全なる崩壊を迎える。グラハム家を襲う恐怖は、留まることを知らない。
全米で絶賛された驚愕のホラー映画
2018年6月8日、アメリカの数ある映画館で封切られた今作は、『オーシャンズ8』と同じ週に公開が決まっていたが、予想の初登場週末興行収入1200万ドルを遥かに上回り、1357万ドルをたたき出す。
更に、週末興行収入ランキング初登場4位にこぎつけ、アメリカの配給A24の作品としては、過去最高を記録する。
多くの評論家たちからも絶賛され、映画批評サイトにも200件を超えるレビューが集まる。トニ・コレットの演技は、一晩寝ても忘れられない程の刺激に溢れていると評価される。監督・脚本ともに今作でデビューを飾ったアリ・アスター監督にも同様に注目が集まっている。
『ローズマリーの赤ちゃん』や『エクソシスト』などの邪悪な時代精神を反映しているとも評価され、名作に並ぶほどの知名度を得る。ここまでの傑作を作り上げたアリ・アスター監督は、実に恵まれた監督だとも言われている。
映画『ヘレディタリー 継承』の公開前に見ておきたい映画
ローズマリーの赤ちゃん
1968年に製作・公開されたアメリカのホラー映画。アイラ・レヴィンの原作小説を映像化したものである。制作秘話では、舞台となるアパートの外観を、世界的に有名なロックグループ、ザ・ビートルズのリーダーボーカルであるジョン・レノンとその妻のオノ・ヨーコが住んでいたことで有名なダコタ・ハウスで撮影される。
ニューヨークのアパートに引っ越してきたローズマリーと、その夫の売れない役者・ガイは、おせっかいな隣人のカスタベット夫妻と親密な関係になっていく。だが、カスタベット夫人が身に着けていた、養女の形見のペンダントをローズマリーが受け取ったことで、ローズマリーは悪魔に犯されるという奇妙な体験をする。
そして物語は、悪魔崇拝者であったカスタベット夫妻の化けの皮が剥がれたことで、佳境を迎える。悪魔の子を宿すために、生贄とされてしまったローズマリーの運命は、映画の最後まで目が離せない。
この映画の恐怖は、映画史に残る傑作で間違いない。
詳細 ローズマリーの赤ちゃん
500ページの夢の束
1999年、アメリカのミステリー映画界に驚愕の作品が発表される。死んだ人が見える少年と、その少年をサポートする小児精神科医の男の「未知の世界」の物語、『シックス・センス』。アクション映画俳優として名高いブルース・ウィリスが、映画の中で暴れまわらない、数少ない映画でもある。
この映画が公開されてから約20年の年月が過ぎ、当時少女役として出演していたトニ・コレットは大人になり、美しい女優へと成長していた。2018年、トニ・コレットは『ヘレディタリー 継承』だけでなく、11月には『マダムのおかしな晩餐会』や『アンロック 陰謀のコード』など数々の映画に出演する。
そして、9月に公開されたばかりの映画『500ページの夢の束』もまた、トニ・コレットが重要な役どころを演じる映画である。主人公は、自閉症を患う少女ウェンディ。彼女は『スター・トレック』の熱狂的なファンであり、『スター・トレック』の脚本を書くことを趣味としていた。
ある日、『スター・トレック』の脚本コンテストが開催されることを知り、ウェンディは遥か先にあるハリウッドを目指して旅に出る。トニ・コレットは、ウェンディを支えるソーシャルワーカーとして出演し、自閉症と向き合う少女を支える役を演じる。純粋な少女のハートフルな物語が、とても印象的な映画である。
詳細 500ページの夢の束
エージェント・ウルトラ
『ヘレディタリー 継承』の製作ケビン・フレイクスと、製作総指揮ジョナサン・ガードナーが手掛けるアクションラブコメディ映画。
スプーン1本で暴漢と闘うマイクと、その恋人フィービー。2人は、マイクが実はCIAが極秘に訓練していたエージェントであったことが発覚して以来、CIAに命を狙われる羽目に。
世の中の半分以上をなめ切って、のらりくらりとその日暮らしのような生活を送っていたダメ男が、実はものすごい実力を隠し持つエージェントだと分かった瞬間の変貌ぶりが、何とも面白おかしくて和やかな映画である。
ホラー映画とは一味違い、ケビン・フレイクスとジョナサン・ガードナーが手掛けるコメディ映画は、21世紀最高のホラー映画の前座として楽しんでおきたい。
詳細 エージェント・ウルトラ
映画『ヘレディタリー 継承』の評判・口コミ・レビュー
『ヘレディタリー 継承』
間違いなくここ20年で一番怖いホラー映画
神経をジリジリすり減らしてくるような演出の連続に気が持ちそうになかった思い出したくないのに思い出してしまう映像とストーリー
もうどうにかなりそうだ…
しかし、もう一度観たい
それほどの完成度を保証する
嗚呼怖い pic.twitter.com/8589DfryAM— AKIRA@映画垢 (@movielike77) 2018年11月30日
『ヘレディタリー 継承』
祖母の死をきっかけに家族に巻き起こる恐怖…。怖い。連鎖していく悲劇や不穏な音楽や奇怪な音などで精神を徐々に抉っていくような巧妙な作り。最悪へと一方通行な家族と拍車が掛かってから辿り着いていく真相に心の芯から震え、怯える並々ならぬ強烈かつ邪悪なホラーでした pic.twitter.com/c1d4lC7ti0— 共食いゾンビ (@MOGUMOGU_shark) 2018年12月1日
『ヘレディタリー 継承』観た。想像以上の禍々しさが全面に出た史上最悪の極悪家族ドラマでした。いったい何食ってどんな生活してたら、こんなおぞましい話を思いつくんでしょうか。恐怖で叫びそうになるより、あまりの邪悪さでひたすら心が凍てつく作品です。 pic.twitter.com/tCVTo6bgRy
— 人間食べ食べカエル (@TABECHAUYO) 2018年12月1日
『ヘレディタリー 継承』
今年ベスト!どころか、オールタイムベストすら更新しよった!
小学生の頃からホラー、スプラッターを観まくった私ですら全神経を“防御”に集約してしまうほどの恐怖と破壊の権化…観賞後の自分の顔を鏡で見てさらに驚愕!
「俺…!笑ってるじゃん!」 pic.twitter.com/YpPgq8vprb— メトロポリタン (@redsoil3) 2018年11月30日
『ヘレディタリー 継承』
もう物語の初めから伏線が張られてます。伏線の嵐。
とっても面白かった。顔芸&演技が素晴らしい。役者さんの表情もいい。
ぞくぞくする怖さもあるけど、意表を突く様な驚く展開も。 pic.twitter.com/aaiAMo2ds3— ルカ (@yukinko6038) 2018年12月1日
映画『ヘレディタリー 継承』のまとめ
2018年は、傑作と呼ばれるホラー映画が目白押しの年である。衝撃的なストーリー展開や、洗練された最先端の技術が相まって恐怖は年々その怖さを増すばかり。発表されたポスターからでさえ、その恐怖をありありと感じ取ることができる。この映画は、余りにも怖いとあらゆる記事で紹介され、綿密に計算されつくした恐怖に、目が離せないばかりか、もう一度見たくなるとも評判。「Hereditary(受け継ぐもの)」のタイトル通り、恐怖が子々孫々に至るまで語り継がれているようだ。
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