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映画『こどもしょくどう』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

小学5年生の高野ユウトの両親は食堂を営んでいた。ある日、ユウトは車で寝泊まりをしている姉妹と出会う。ユウトは両親に頼み、姉妹に食事を御馳走することにした。最近問題になっている、貧困や育児放棄を描いた作品。

映画『こどもしょくどう』の作品情報

こどもしょくどう

タイトル
こどもしょくどう
原題
なし
製作年
2018年
日本公開日
2019年3月23日(土)
上映時間
93分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
日向寺太郎
脚本
足立紳
山口智之
製作
鈴木ワタル
瀬井哲也
岩村修
行実良
製作総指揮
岡本東郎
キャスト
藤本哉汰
鈴木梨央
浅川蓮
古川凛
田中千空
林卓
降谷建志
石田ひかり
製作国
日本
配給
パル企画

映画『こどもしょくどう』の作品概要

日本は先進国の中でも「相対的な貧困状態」にある子供が多く、6人に1人の子供が貧困状態にあると言われている。本作品はそんな子供達の様子にスポットが当てられており、貧困問題や育児放棄などについて描かれている。藤本哉汰は食堂を経営する両親を持つ少年を演じ、鈴木梨央は父と妹と共に車中泊を行う少女を演じている。2人は本作で映画主演デビューを果たした。映画『火垂るの墓』(08)や映画『爆心 長崎の空』(13)などを手がけた日向寺太郎が監督を務めている。

映画『こどもしょくどう』の予告動画

映画『こどもしょくどう』の登場人物(キャスト)

高野ユウト(藤本哉汰)
小学5年生。両親は食堂を営んでいる。妹がいる。家族の仲は良好で、平穏な暮らしを送っている。
木下ミチル(鈴木梨央)
母親はおらず、父と妹のヒカルと共に河原で車中泊を行っている。他人に対しての警戒心が強い。
大山タカシ(浅川蓮)
ユウトの幼馴染。父親はおらず、母親と一緒に暮らしている。だが、母親が育児を放棄しているため、食べる物にも困る生活を送っている。

映画『こどもしょくどう』のあらすじ(ネタバレなし)

小学5年生の高野ユウトの両親は食堂を営んでいた。妹と一緒に両親が作ったご飯を食べ、日々幸せに暮らしていた。一方、ユウトの幼馴染のタカシは、家に帰っても一人ぼっちだった。父親はおらず母親が育児放棄をしていたため、満足に食事も食べられない状況だった。ユウトや彼の両親は、タカシを心配して食事をよく食べさせてあげていた。

ある日、タカシはある姉妹(姉の名前はミチル、妹の名前はヒカル)と出会う。ミチル達は父親と共に、河原で車中泊を行っていた。タカシはミチルが万引きをするところを目撃してしまい、衝撃を受ける。ミチル達を家に連れて帰り、両親に食事を食べさせてあげて欲しいと頼んだ。そんな中、父親が失踪し、ミチル達の生活はさらに困窮する。

映画『こどもしょくどう』の感想・評価

「子ども食堂」

少し前までは核家族の影響から、老人の孤独死や1人で生活を送る孤独な老人が問題になっていた。最近では老人の状況について社会での認知度が高まり、ボランティア活動などで老人のサポートをすることが増えて問題が少しずつ改善されつつある。それに反して、子供の孤食や欠食が問題になってきている。日本は先進国の中でも相対的な貧困状態にある子供が多く、この問題は2013年頃から表面化してきたと言われている。

孤食や欠食など食に関する問題を抱える子供達を助けるために作られたのが、この「子ども食堂」である。料金や開催頻度などは店によって異なるが、無料や100円など安価な価格で食事を提供している場所が多い。2019年にはコンビニエンスストアのファミリーマートが、イートインで「ファミマこども食堂」を展開すると発表しており、企業も大きな注目を持っている。

子供の視点から描いた食や社会の問題

「子ども食堂」に対しての社会の認識は徐々に高まっており、2018年9月29日には『こども食堂にて』という「子ども食堂」を舞台にした映画が公開されている。「子ども食堂」のお蔭で救われている子供達がいる。その一方で、貧困という目で見られたくないという理由から、「子ども食堂」から遠ざかってしまっている子供達も少なくない。

本作は大人の視点から育児放棄や貧困の問題を描いているのではなく、子供を視点に物語が進んでいく。そのため、「子ども食堂」を理解する上で重要な作品だと言える。主人公である高野ユウトの友人を助けたいという気持ちだけではなく、現在問題を抱えている子供達がどんな思いを抱きながら暮らしているのか、表面的な状況だけではなく気持ちも伝わってくる作品となっている。

現在活躍中の子役達が出演!

主演を務めたのは、子役として活躍している藤本哉汰と鈴木梨央である。藤本はNHK大河ドラマ『平清盛』で、大東駿介が演じた平家盛の幼少期を務めた人物である。それ以外にもTBSドラマ『水戸黄門 第43部』やダイハツ『ミライース』のCMに出演するなど、幅広い活躍を見せている。

鈴木梨央は5歳の頃に芸能界デビューを果たし、満島ひかりが主演を務めた日本テレビ系列のドラマ『Woman』に出演して一躍有名になった。まだ幼いながらも、声優を務めた作品で「第68回カンヌ国際映画祭」に招待されるなど、ワールドワイズな活躍を見せている。

また藤本達以外にも、映画『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』(18)に出演した古川凛や映画『渇き。』(14)に出演した浅川蓮など、現在活躍中の子役達が多数出演している。大人顔負けな彼らの演技にぜひ注目してもらいたい。

映画『こどもしょくどう』の公開前に見ておきたい映画

映画『こどもしょくどう』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『こどもしょくどう』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

爆心 長崎の空

日向寺太郎監督の代表作。青来有一原作の短編集『爆心』を元に作られている。被爆三世である門田清水を中心に、長崎に暮らす人々の様子が描かれている。門田を演じたのは女優の北乃きい。稲森いずみ・柳楽優弥・佐野史郎など、そうそうたる面々が脇を固めている。歌手の小柳ゆきが主題歌を担当しており、『ひまわり』という楽曲が起用されている。「第16回上海国際映画祭・コンペティション部門」でも上映されている。

女子大生の門田清水は、母親の言うことを聞かず喧嘩ばかりしていた。ある日、恋人と会っているときに母親から連絡がきたのだが、彼女は恋人を優先して連絡に出なかった。家に帰ると、母が倒れていた。門田は電話に出なかった自分を責め、母の死を嘆き悲しんだ。一方、高森砂織は娘を失ったことが受け入れられず、一周忌が間近に迫った今も悲しみから抜け出せずにいた。門田と高森はひょんなことから出会った。

詳細 爆心 長崎の空

リトルプリンス 星の王子さまと私

鈴木梨央の代表作で、「女の子」の日本語吹き替えを担当している。アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ原作の小説『星の王子さま』のその後を描いた物語。映画『カンフー・パンダ』(07)を手がけたことでも有名な、マーク・オズボーンが監督を務めた。鈴木の他に、津川雅彦、伊勢谷友介、竹野内豊などが日本語吹き替えを担当している。

女の子は名門校に入学するため、母親の管理の元勉強ばかりしていた。そんな彼女に初めての友達ができた。その人物は年老いた飛行士だった。飛行士は昔砂漠で王子さまと出会ったことがあった。女の子は飛行士が語る王子さまの話に興味を抱く。だが、飛行士が病に罹り、病院に運ばれてしまう。女の子は飛行士を助けてもらうため、王子さまを探すことにした。

詳細 リトルプリンス 星の王子さまと私

ひまわりと子犬の7日間

藤本哉汰の映画デビュー作。藤本は堺雅人が演じた保健所職員、神崎彰司の息子・神崎冬樹役を務めている。2007年に宮崎県の保健所で実際に起こった出来事を元に、「犬の殺処分」について描かれている。映画『母べえ』(07)や映画『東京家族』(12)など、数々の作品で山田洋二と共同脚本を担当してきた平松恵美子が監督・脚本を担当している。

宮崎県の保健所によって野良犬が捕獲された。その野良犬には子供がいた。母犬は子犬を守ろうと、職員達を威嚇していた。動物が収容できるのは7日間だけだったため、それまでに引き取り手を探さなければならなかった。しかも、引き渡すには母犬が安全だと証明しなければならなかった。保健所職員の神崎彰司は、収容期間をこっそり伸ばし母犬達の世話を行った。

詳細 ひまわりと子犬の7日間

映画『こどもしょくどう』の評判・口コミ・レビュー

映画『こどもしょくどう』のまとめ

現在の日本では、子供の孤食だけに留まらず育児放棄や虐待など様々な問題が起こっている。本作はそんな問題に、子供達の目線から深く切り込んでいる。大人とはまた違った子供ならではの感性から育児放棄などの問題が見られるため、今まで気づかなかった新たな問題点や改善策が見えてくる。虐待によって子供達が亡くなるという痛ましい事件が起きている現代だからこそ、改めて本作を見て子供達に何が起きているのかを知って欲しいと思う。

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