2010年にニック・ピゾラットによって執筆された小説、『逃亡のガルヴェストン』。人々を取り巻く孤独と物悲しさ、息を飲む緊迫感を見事に融合させた名作が、とうとう映画化。
映画『ガルヴェストン』の作品情報
- タイトル
- ガルヴェストン
- 原題
- Galveston
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年5月17日(金)
- 上映時間
- 94分
- ジャンル
- サスペンス
- 監督
- メラニー・ロラン
- 脚本
- ジム・ハメット
- 製作
- タイラー・デビッドソン
- 製作総指揮
- ジーン・ドゥーマニアン
パトリック・デイリー
ケビン・フラガニン
デクスター・W・ブラフ
ショーン・オブライエン - キャスト
- エル・ファニング
ベン・フォスター
リリ・ラインハート
アデペロ・オデュイエ
マリア・バルベルデ
C・K・マクファーランド
ボー・ブリッジス - 製作国
- アメリカ
- 配給
- クロックワークス
映画『ガルヴェストン』の作品概要
ニック・ピゾラットが2010年に発表した小説、『逃亡のガルヴェストン』。『ローン・サバイバー』や『X-MEN ファイナル ディシジョン』で有名なベン・フォスター、『マレフィセント』や『ネオン・デーモン』で有名なエル・ファニングをダブル主人公に据えた豪華作。組織、家族、社会、その全てから見捨てられた孤独な中年男性と孤独な少女。決して交わりあう筈のなかった二人の運命が、ふとした出来事をキッカケに交差する。そんな二人が出会ったのは、偶然かそれとも運命か。孤独な二人を待ち受ける運命とは。
映画『ガルヴェストン』の予告動画
映画『ガルヴェストン』の登場人物(キャスト)
- ロイ(ベン・フォスター)
- 長年組織のヒットマンとして裏社会で生きてきた孤独な男。ある日、突如末期ガンが発覚し余命宣告を受ける。
- ロッキー(エル・ファニング)
- ロイが襲撃された場所に囚われていた少女。ロイによって解放され、行動を共にすることとなる。
映画『ガルヴェストン』のあらすじ(ネタバレなし)
長年、とある組織のヒットマンとして裏社会で生きてきた男、ロイ。しかし、彼の人生は突然大きく変化することとなる。なんと、彼に末期ガンが見つかり、余命宣告を受けてしまったのだ。失意に沈みながらも、ロイはその日も組織のボスに命じられ、標的を殺すべく指定先へと向かっていた。しかし、その場でロイは何者かの襲撃を受ける。組織は、余命宣告を受けたロイを見限ったのである。組織に裏切られたことを悟ったロイは、襲撃者を撃ち殺す。そして、その場にはもう一人居合わせていた。彼女の名前はロッキー。ロイは咄嗟にその場に囚われていたロッキーを引き連れると、その場から逃亡した。そして、孤独な二人の逃避行が始まるのだった。
映画『ガルヴェストン』の感想・評価
少女と中年男性の不器用な関係性
『レオン』や『アニー』、『トゥモローランド』など、中年男性と少女を主人公に組み合わせた映画は数多く存在し、そのいずれもが長年ファンに愛される名作ばかり。長年生きてきて凝り固まった価値観が、奔放な少女に翻弄されるうちに徐々に感化されていく、というのが定番のパターン。少女側が無邪気であればあるほど2人の関係も発展しやすいが、本作での少女、ロッキーは心に大きな傷を負った、どちらかというと暗い性格。長年孤独に生きてきた男、ロイも当然の如く口下手で、二人の距離は中々縮まらない。そんな不器用同士である2人は、どのようにして距離を縮めていくのか。2人がようやっと心を通わせたその時、大きな感動が観客の胸を打つ。
組織との熱い攻防戦
本作の主人公は、長年組織の暗殺者として活躍していたが、ある日自分が末期ガンを患っていることが発覚し、突如組織に切り捨てられてしまう。『リベリオン』や『ジョン・ウィック』など、主人公がこれまで属していた組織に相対する映画は数多くあるが、数の利を武器に襲いかかってくる組織に対して、鍛え上げられた圧倒的な技術で主人公が勝ち進んでいく、というのが王道パターン。しかし、本作の主人公は末期ガンを宣告され身体に爆弾を抱えている上に、さらに、守らなければいけない少女もいる。そんな主人公達は、無慈悲に襲いかかってくる組織の魔の手からどのようにして逃げ延びるのか。息をつく暇もない、怒涛の展開があなたを待ち受ける。
映画『ガルヴェストン』の公開前に見ておきたい映画
レオン
言わずと知れた名作。1994年に制作された、ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン両者にとって代表作である本作。特に、ナタリー・ポートマンにとっては2000人以上の候補者の中から抜擢され、映画デビューとなった作品、と彼女の華々しいキャリアの第一歩となった作品である。最新作との共通点は、主人公が殺し屋であること、孤独な男と孤独な少女が行動を共にするという点。ジャン・レノ演じる主人公、レオンはニューヨークで殺し屋を営んでいた。ある日、レオンの暮らすアパートにスタンスフィールドという男が部下を連れて乗り込んでくる。実は、レオンの隣人であるジョセフが、商品である麻薬を盗んだのだった。ジョセフの家族は、買い物に出かけていた娘、マチルダを除き全員が撃ち殺された。レオンは咄嗟にマチルダを保護し、そこから孤独な二人の奇妙な暮らしが始まるのだった。
詳細 レオン
マレフィセント
最新作の主演を務めたのは、現在21歳の、アメリカを中心に活躍する若手女優。まだ若い彼女であるが、演劇を開始したのは2歳の頃という既に20年近いキャリアを誇る。若くから高い評価を得ていた彼女であるが、日本においても彼女の名前が知名度を得たのは本作がキッカケではないだろうか。マレフィセントとは、誰もが知るディズニーの名作、『眠れる森の美女』の悪役。そして、エル・ファニングが演じたのがヒロイン、オーロラ姫である。妖精の国で暮らす幼い頃のマレフィセントは、国に迷い込んできた人間の少年、ステファンと恋に落ちた。しかし、大きくなったステファンは、自らの野望を叶えるべくマレフィセントを裏切ったのだ。失意に飲まれたマレフィセントは、ステファンの娘であるオーロラの命を狙うが…?
詳細 マレフィセント
ジョン・ウィック
本作は、『マトリックス』などで有名なキアヌ・リーヴスの新たな代表作。2017年には続編も発表された人気作である。本作と最新作との共通点、主人公が殺し屋として組織に仕えている、という点。そして、そのどちらもがとある出来事をきっかけに、組織と相対していくことになるのである。かつて、最強の殺し屋として裏社会を震撼させたジョン・ウィック。彼は最愛の女性、ヘレンとの出会いをきっかけに、5年前に足を洗っていた。しかし、そんなヘレンは病のためジョンを残して天国へと旅立ってしまう。ヘレンは、ジョンのために1匹の犬を手配していた。犬の存在で、再び生きる希望を見出したジョン。しかし、その犬も何者かに殺されてしまう。その人物とは、かつてジョンが所属していた組織のボスの息子だった。かくして、ジョン・ウィックの復讐劇が始まるのだった。
詳細 ジョン・ウィック
映画『ガルヴェストン』の評判・口コミ・レビュー
#ガルヴェストン という場所がロイにとっての特別な場所であり続けたように、ロッキーも彼にとって永遠に特別な人になっていく。残酷な旅の終わりと2人が繋いだ命。鉄板のロードムービーながら、詩的な色使いと心情描写が素敵だった。減点されてしまうのも理解出来るけど、余韻が物凄く好みだった。 pic.twitter.com/OK4a07SB0M
— むびお (@movio_) 2019年5月18日
映画『ガルヴェストン』を鑑賞☺️
殺し屋の男と娼婦の女が出会い、逃げながら心を通わせていく物語。
この世には見えないカゴがあって、一種の悟りからというものの。
もう一度、羽ばたけるのかと。
希望と絶望が絡み合うストリートストーリー。#ガルヴェストン #映画 pic.twitter.com/DAuPv4Cge1— Mor Woodgarage (@retradrock) 2019年5月19日
『ガルヴェストン』余命宣告を受けた中年殺し屋と若き娼婦の逃亡劇。少女性を負わされた役が多いエル・ファニングが少女であるがゆえの被害者をきっちり演じて辛い。ベン・フォスター演じる庇護者のような殺し屋と性的な関係を避ける展開は少しの救い。風と光に湿度を含む映像と暗い轟音が良かった。 pic.twitter.com/ORThdF8szU
— Zzzin} (@zzztot) 2019年5月18日
映画 #ガルヴェストン 観た🚙
88年🇺🇸。余命僅かな殺し屋が、仕事中助けた少女娼婦と逃避行。
王道ロードムービー。恋人じゃない少女の為に危険を冒す矛盾も無し!
ヒロインはエル・ファニング!泣き喚くエル、ボロボロのエル、水着のエル!
彼女かナタリー・ポートマンと逃げるのは中年の夢🕶 pic.twitter.com/HyyPCvDXBQ
— クマ🎩黒執事 最新28巻3月27日発売! (@takekumax) 2019年5月18日
ガルヴェストン、無駄に物語ることのないテキパキとした展開と、気持ちよくカットしていく編集。強烈に眩しく美しい海の画。最後のエル・ファニングのカットバック。ここまでハイレベルなジャンル映画を作り上げるとは、メラニー・ロラン侮れず
— ooNoo (@generalAO) 2019年5月18日
映画『ガルヴェストン』のまとめ
これまで、中年男性と少女を組み合わせた映画は数多く誕生してきた。その一つであり、本格サスペンス小説を原題としている本作。果たして本作は、第2の『レオン』、またはそれを越す名作になり得るか。主演に実力派ばかりを揃え、気合は十分。孤独な二人を待ち受ける運命はハッピーエンドかそれとも…。不器用な二人の幸せを思わず願わずにはいられない名作。アクション映画としてもサスペンス映画としても、ヒューマンドラマ作品としても楽しめる様々な魅力を持つ一本。
みんなの感想・レビュー