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映画『億男』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

兄の作った借金を押し付けられ、愛する妻子にも愛想を尽かされてしまった男が、3億円の宝くじに当選して人生が一変。果たして、彼は幸せになれるのか?映画プロデューサー・川村元気の同名ベストセラー小説を映画化したマネーエンターテイメント。

映画『億男』の作品情報

億男

タイトル
億男
原題
なし
製作年
2018年
日本公開日
2018年10月19日(金)
上映時間
不明
ジャンル
コメディ
ヒューマンドラマ
監督
大友啓史
脚本
渡部辰城
大友啓史
製作
市川南
佐藤善宏
守屋圭一郎
製作総指揮
山内章弘
キャスト
佐藤健
高橋一生
黒木華
池田エライザ
沢尻エリカ
北村一輝
藤原竜也
製作国
日本
配給
東宝

映画『億男』の作品概要

悪人』(10)、『バクマン。』(15)、『君の名は。』(16)など、数多くのメガヒット作を生み出してきた敏腕プロデューサー・川村元気のベストセラー小説『億男』を実写映画化した作品。監督は『るろうに剣心』シリーズ3部作、『プラチナデータ』(13)、『3月のライオン 前編 / 後編』(17)などで知られる大友啓史。佐藤健、高橋一生、黒木華、藤原竜也、沢尻エリカ、北村一輝、池田エライザといった豪華キャストが、“お金と幸せ”をめぐる大人の冒険物語でひと暴れする!

映画『億男』の予告動画

映画『億男』の登場人物(キャスト)

一男(佐藤健)
図書館司書。3000万円の借金を残して失踪した兄の代わりに、その借金を返済している。妻にも愛想を尽かされ、人生のどん底にいる時、思いがけず3億円の宝くじに当選する。
九十九(高橋一生)
一男の大学時代の親友。大学卒業後に起業し、億万長者となる。一男とは、しばらく音信不通になっていた。
万佐子(黒木華)
一男の妻。借金返済に縛られ、心まで貧しくなってしまった一男に愛想を尽かし、娘のまどかを連れて家を出る。

映画『億男』のあらすじ(ネタバレなし)

図書館司書の一男は、3000万円の借金を残して失踪した兄の代わりに、夜もパン工場で働きながら、兄の借金を返済している。妻の万佐子は、借金返済のためだけに生きているような一男が嫌になり、離婚届を残し、娘のまどかを連れて家を出る。

借金地獄の中、愛する家族にまで見放された一男は、人生に絶望する。ところが、思いがけないルートで手にした宝くじで3億円が大当たり!これで借金地獄から解放され、万佐子ともやり直せると喜ぶ一男だったが、ネットで高額当選者の悲惨な末路の記事を読み、急に怖くなる。思い悩んだ一男は、起業して億万長者になっている大学時代の親友・九十九に相談することに。久しぶりに再会した2人は、九十九の案内で大豪遊して、一男は酔いつぶれて寝てしまう。翌朝、一男が目覚めると、九十九と共に3億円が忽然と消えていた。一男は驚愕し、消えた親友と3億円の行方を追い始める。

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映画『億男』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『億男』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『億男』の感想・評価

お金と幸せの関係

「人はお金があれば幸せになれるのか?」というのは、人類の永遠のテーマであり、有名無名を問わず、多くの人たちがこのテーマについて言及している。『レ・ミゼラブル』で知られるフランスの作家、ヴィクトル・ユーゴーは「財布が軽くなるほど、心が満たされる」「空っぽのポケットほど、人生を冒険的にするものはない」という美しい名言を残しているが、「金の切れ目が縁の切れ目」という有名なことわざがあるように、現実には、お金がないと惨めな思いをすることも多い。しかし、あまりに多額のお金を持つと、トラブルに巻き込まれやすくなるのも事実だ。若くして成功したスターが不幸な人生を歩みがちなのも、ほとんどはお金が原因だろう。お金に群がる魑魅魍魎が、スターの人生をめちゃくちゃに食い荒らしてしまうのだ。

本作の主人公の一男は、借金返済に追われるジリ貧状態から、一夜にして“億男”になってしまう。それを単純に「羨ましい!」と思う人もいるだろうし、「いやー、当たったらどうしようって空想するのは楽しいけど、現実にはちょっとね…」と思う人もいるだろう。本作では、億男になった一男の体験を通して、お金と幸せの関係を紐解いていく。簡単には結論の出ない哲学的なテーマなだけに、結末には注目したい。

川村元気という男

映画製作というのは大変な作業で、多くの資金と人手と手間を要する。規模の大きな商業映画の場合、莫大な資金と時間のかかる一大プロジェクトになるので、全てを把握している最高責任者がどうしても必要になる。その最高責任者が“プロデューサー”と呼ばれる人たちであり、本作の原作者の川村元気は、売れっ子プロデューサーとして知られている。

川村は初プロデュースした『電車男』(05)をヒットさせ、その後も数々のヒット作を連発していく。川村が企画・プロデュースした主な作品をいくつか並べてみると、彼がいかに有能な映画プロデューサーであるかがわかる。実写映画では、『デトロイト・メタル・シティ』(08)、『告白』(10)、『悪人』(10)、『モテキ』(11)、『寄生獣』(14)、『バクマン。』(15)、『怒り』(16)などを手がけ、アニメーションでは『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15)、そして全世界での興行収入2億8100万ドル(日本円にして約312億6000万円)を記録した『君の名は。』も企画・プロデュースしている。プロデューサー業だけでも多忙を極めているはずなのに、ベストセラー小説まで書いてしまうとは、川村元気という男は凄まじい。

大友啓史監督と佐藤健

そんな川村のベストセラー小説の映画化が決まり、監督を依頼されたのは、『るろうに剣心』(12)、『るろうに剣心 京都大火編』(14)、『るろうに剣心 伝説の最期編』(14)のシリーズ3部作を大ヒットさせた大友啓史。人気コミックの実写版は意外と成功例が少ないのだが、この作品は原作ファンも納得の出来栄えで、各方面から高評価を得た。大友監督は元NHK職員で、土曜ドラマ『ハゲタカ』や大河ドラマ『龍馬伝』などの演出も手がけており、映像制作のキャリアは長い。川村の原作小説を大友監督がどんな風に映像化しているのか、非常に楽しみなところ。

そして、『るろうに剣心』で大友監督とタッグを組んだ佐藤健が、本作の主人公・一男を演じる。佐藤健は、『バクマン。』と『世界から猫が消えたなら』でも主演に抜擢されており、川村元気の信頼も厚い。佐藤健の魅力は、普通っぽさを失わないところにある。どんな役に扮していても、観客に自然と受け入れられる舌触りの良さがあり、違和感なく見られる。本作でも、佐藤健は適度なポップさを保ちつつ、お金に翻弄される情けない主人公を好演しているはずだ。

映画『億男』の公開前に見ておきたい映画

映画『億男』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『億男』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

世界から猫が消えたなら

平凡な郵便配達員の僕(佐藤健)は、脳腫瘍で余命わずかだと宣告されるが、自分がもうすぐ死ぬという事実を受け入れられない。その夜、茫然自失の状態で自宅へ戻った僕の前に、自分そっくりの悪魔(佐藤健)が現れ、「この世から何か1つ消し去れば、君の寿命は1日延びる」と告げる。しかし、悪魔が“電話”をこの世から消滅させると、間違い電話で繋がった元彼女(宮崎あおい)の記憶から、僕の存在が消えてしまう。

川村元気の同名小説を永井聡監督が実写映画化した作品。「もしも、この世界から〇〇が消滅したらどうなるか」を、余命宣告を受けた僕の目線で描き、大切なものとは何かを綴っていく。僕が映画好きという設定なので、本作では“映画”が重要な役割を果たす。劇中には、“SF映画の原点”と言われている1927年公開の『メトロポリス』や、チャップリンの『ライムライト』(52)、ウォン・カーウァイ監督の『ブエノスアイレス』(97)など、名作映画が様々な形で盛り込まれる。そして、ファンタジーとリアルが融合した物語のベースになっているのは、川村の大好きなティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』(03)。川村元気の世界観を、永井監督が情緒的に優しく再現している。

詳細 世界から猫が消えたなら

バクマン。

絵が得意なサイコー(佐藤健)は、文才のある同級生のシュージン(神木隆之介)とコンビを組み、『週刊少年ジャンプ』に連載を持てるような漫画家を目指し始める。2人はジャンプ編集者の服部(山田孝之)に才能を見込まれ、いきなり手塚賞に準入選するが、なかなか連載は持たせてもらえない。2人は様々な試練に直面しながらも、自分たちにしか描けない漫画を模索していく。

原作・大場つぐみ、作画・小畑健の同名人気コミックを実写映画化した作品。企画・プロデュースは川村元気、監督は『モテキ』(11)でも川村とタッグを組んだ大根仁。プロジェクションマッピングを使った斬新な映像とサカナクションの音楽も話題になり、国内で数多くの映画賞を受賞した。漫画に青春を捧げるサイコーとシュージンの姿を通して、漫画制作の舞台裏を見ることができる。『週刊少年ジャンプ』を愛読しているような漫画好きの人にとって面白いのは当然だが、特に漫画に興味がなくても、よくできた青春コメディとして楽しめる娯楽性の高い作品。

詳細 バクマン。

ライムライト

初老の道化師・カルヴェロ(チャールズ・チャップリン)は、自殺を図ったバレリーナのテリー(クレア・ブルーム)を助け、人生に絶望した彼女を励まし続ける。しかし、カルヴェロも芸人として落ちぶれてしまい、酒浸りの日々を送っていた。カルヴェロのおかげでバレリーナとして再起したテリーは、自らカルヴェロにプロポーズするのだが…。

チャールズ・チャップリンが監督・脚本・製作・主演・音楽(共同)を務めたヒューマンドラマの名作。チャップリン自身の人生が反映された物語になっており、テリーを励ますカルヴェロのセリフには、チャップリンの人生観が詰まっている。その中でも特に有名なのが「人生に必要なもの、それは勇気と想像力と少々のお金だ」というセリフであり、小説『億男』の冒頭部分にも引用されている。きっと川村もチャップリンと同じような人生観を持ち、映画製作の現場にいるのだろう。『ライムライト』は、ペーソス溢れる美しい映画なので、生涯に1度は見ておきたい。

詳細 ライムライト

映画『億男』の評判・口コミ・レビュー

映画『億男』のまとめ

お金というのは不思議なもので、ないと不自由なのだが、あり過ぎてもなぜか不自由だ。ドイツの哲学者・ショーペンハウアーは「富は海の水に似ている、それを飲めば飲むほどのどが乾いてくる」と表現しているが、この言葉はお金と幸せの関係の真理をついている。億万長者になったとしても、お金に支配される人生は虚しい。とはいえ、私たちがお金のない世界で生きることは不可能なので、お金とは適当に付き合って、心豊かな人生を歩みたいものである。映画『億男』は、簡単そうで難しいお金との付き合い方を、私たちに楽しく伝授してくれる。

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